選定療養費と医療費控除
   
カテゴリ:税務
作成日:08/09/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





黒田
「リエちゃん、こんにちは。今日の午前中、病院に行っていたそうですね。体調はいかがですか?」


リエ
「最近頭痛がひどくて、友達からMRI検査を受けたほうがいいって言われたので今日は大学病院に行って診てもらってきたんです。特に問題はないみたいで安心しました。ただ、診察料金が高くてびっくりしました! 領収書を見たら、初診料や検査料の他に『選定療養費』が5000円もかかったんですよ。」



黒田
「紹介状がない場合の大病院の初診や差額ベッド代、時間外診療などは、健康保険法における『選定療養』とされているようですから、リエちゃんが支払った5000円は、大病院での初診による選定療養費ということになるんでしょうね。」

リエ
「この選定療養費は医療費控除の対象になりますか?」

黒田
「今回リエちゃんが支払った選定療養費は、医師による診察等を受けるために支払う費用として医療費控除の対象になりますが、医療費控除の対象となる医療費は、『診療又は治療等の対価のうち通常必要であると認められるもの』とされています。選定療養費とされるものの中にはこれに該当しないものも含まれる可能性がありますので、個別の事情を検討して判断する必要があります。」

リエ
「ちなみに、病院で紹介状を作成してもらった費用は医療費控除の対象になりますか?」

黒田
「はい、一般的な紹介状作成料は医療費控除の対象となりますよ。国税庁のHPで『診療情報提供書に係る診療情報提供料の自己負担額の医療費控除の取扱いについて(平成26年12月1日 東京国税局審理課長 回答)』が公表され、紹介先医療機関での治療に必要な費用であること、厚生労働省が規定する診療情報提供料に該当することなどを理由として医療費控除の対象になると判断されています。ちなみに、診断書などの作成に係る文書料については、医師が診療又は治療した内容等を記載した文書の発行に係る手数料であり、診療又は治療の対価に該当しないことから、医療費控除の対象にはなりませんのでご注意ください。」

リエ
「今年はもしかしたら医療費控除を受けるかもしれないから、きちんと領収書を保管しておきます。黒田さんもお体に気をつけてくださいね。」