高額特定資産を取得した場合の消費税特例措置
   
カテゴリ:税務
作成日:04/19/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「平成28年度改正によって、消費税の課税事業者の判定に注意が必要になると耳にしました。どのような改正が行われたのでしょうか。」





黒田
「具体的な改正の内容ですが、免税事業者を除く事業者が、簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における棚卸資産及び調整対象固定資産のうちその価額が高額である一定の資産(以下、高額特定資産という。)の課税仕入れ又は高額特定資産の保税地域からの引取りを行った場合には、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間から当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、小規模事業者の納税義務の免除及び簡易課税制度を適用できないとされました。」

リエ
「高額の仕入れ等を行った場合には、基準期間の課税売上高に関係なく、その後2年間は簡易課税制度や事業者免税点制度を適用できなくなったのですね。ちなみに、対象とされている高額特定資産とは何でしょうか。」

黒田
「高額特定資産とは、一取引につき、支払い対価の額が税抜1000万円以上の棚卸資産及び調整対象固定資産のことをいいます。具体的には、建物や船舶、車両等が該当することになりますね。」

リエ
「自分で作った場合等はどうなるのですか。」

黒田
「自ら建設等に要した課税仕入れに係る支払い対価の額が税抜1000万円以上となった場合は、1000万円以上となった日の属する課税期間からその建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間において、簡易課税制度等の適用をすることができません。」

リエ
「基準期間や特定期間、調整対象固定資産、高額特定資産…消費税率の変更だけで頭いっぱいなのに、いろいろ考慮しなければならないものが増えてきましたね。この改正は、いつから適用されるのでしょうか。」

黒田
「適用期間は、平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合からとされています。ただし、平成27年12月31日までに締結した契約に基づき平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合には、適用されません。」

リエ
「今のところ弊社には関係ない改正ですが、課税売上高が1000万円前後で推移している事業者や簡易課税制度の適用を検討していた事業者にとっては、大きな改正と言えそうですね。」