役員に社宅を貸与した場合の給与課税
   
カテゴリ:税務
作成日:06/28/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





旭課長
「黒田さん、ちょっと聞いてもいいですか?」

黒田
「はい。なんでしょう?」



旭課長
「今度、会社所有の不動産を社宅として役員に貸与することになったのですが、何か注意点はありますか?」

黒田
「役員から1ヵ月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」)を受け取っていれば給与として課税されることはありません。無償で貸与していたり、賃貸料相当額に満たない金額を受け取っている場合は差額が給与として課税されます。」

リエ
「賃貸料相当額はどのように計算するのですか?」

黒田
「貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅に分かれ、計算方法が異なります。小規模な住宅とは、建物の耐用年数が30年以下の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、建物の耐用年数が30年を超える場合には床面積が99平方メートル以下である住宅のことをいいます。」

 <小規模な住宅の場合の賃貸料相当額>
 (1)から(3)の合計額になります。
 (1)その年度の建物の固定資産税課税標準額×0.2%
 (2)12円×その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル
 (3)その年度の敷地の固定資産税課税標準額×0.22%

 <小規模な住宅でない場合の賃貸料相当額>
 (1)自社所有の社宅の場合
  イとロの合計額の1/12になります。
  イ その年度の建物の固定資産税課税標準額×12%
    ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合には10%
  ロ その年度の敷地の固定資産税課税標準額×6%

 (2)他から借り受けた住宅等を貸与する場合
  会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額との
  いずれか多い金額

リエ
「うわー!ややこしいですね。」

黒田
「ただし、この社宅が社会通念上一般に貸与されている社宅とは認められないような豪華社宅の場合は時価(実勢価額)が賃貸料相当額になります。」

旭課長
「社会通念上一般的の判断が難しいですね。」

黒田
「そうですね。豪華かどうかは床面積が240平方メートルを超えるもののうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素で総合判断します。240平方メートル以下であっても、プール等一般住宅には設置されていない設備があるようだと豪華社宅になります。」

旭課長
「なるほど。黒田さん、ありがとうございました。」