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民泊と税金について
カテゴリ:
税務
作成日:
03/01/2016
提供元:
アサヒ・ビジネスセンター
リエ
「黒田さん、ちょっと聞いてもいいですか?」
黒田
「はい、りえちゃん。何かありましたか?」
リエ
「最近テレビや新聞で『民泊』って注目されていますよね。私の親戚が自宅に空き室があるので、最近民泊に興味を持っているみたいなんです。」
黒田
「最近、外国人観光客が増えて宿泊施設不足が大きな課題となっていますね。2020年の東京オリンピックを控え、政府は2014年、指定した『国家戦略特法』に基づく旅館業法の規制を緩和する政令を施行し、特区に限り、ホテルや旅館に課される厳しい安全・衛生基準の規制を部分的に緩め、家の一室を貸し出せる『民泊』を可能にしました。東京都大田区は平成28年1月29日、住宅の空き部屋などに旅行客を有料で泊めることを認める民泊条例を施行しました。」
リエ
「個人の自宅を民泊で貸し出す場合、税金面で注意点とかありますか?」
黒田
「民泊を事業として本格的に行う場合と、例えば普通のサラリーマンの方が副業として行う場合とでは、税法的に取扱いが異なります。事業として行うのであれば当然確定申告が必要となりますが、それが事業所得となるか不動産所得となるかは食事を提供するかどうかで判断することになると思います。所得税法の通達においては、アパート・下宿等の所得の区分として、食事を供さない場合は不動産所得、食事を供する場合は事業所得又は雑所得とされていますので、おそらく民泊を事業として行う場合もこれに倣った判断をすべきと考えます。」
リエ
「では、普通のサラリーマンが副業的に行う場合はどうなりますか?」
黒田
「給与収入が一定金額であったり、複数のところから給与をもらっていない、年末調整が済んでいる等の条件を備えた普通のサラリーマンの方が副業を行ったとしても、その所得が20万円以下であれば申告義務はありません。ですから、民泊による収入が20万円以下であれば、申告する義務はないと考えて良いと思います。」
リエ
「そうなんですね、ほかに注意点はありますか?」
黒田
「まだその取扱いが明確になっているわけではありませんが、民泊を行う場合、住宅ローン控除の適用について問題が生じるのではと言われています。具体的には、自宅の全体を長期間にわたって民泊に提供すると、住宅ローン控除の適用要件の一つである『各年の年末まで引き続き居住する』という要件に該当しなくなるのではないか、という問題が生じますが、今のところ明確にはされていません。ご親戚の方は空き部屋を利用されるということなので、住宅ローン控除の適用そのものがなくなるということはなさそうですが、適用を受けられるのは居住の用に供している部分だけですので、民泊として提供する期間や頻度によっては、その部分を除いたところで住宅ローン控除を適用しなければならなくなる可能性はあります。」
リエ
「確かに住宅のうち、居住用でない部分がある場合は、控除額が減少することがありましたよね。私の親戚が住宅ローン控除を受けているかどうかわかりませんが、念のため確認してみます。」