美術品などに係る減価償却の取扱いって?
   
カテゴリ:税務
作成日:07/28/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  




  

リエ
「黒田さん。先日、美術館に行って来たんですよ~。」


黒田
「いいですね。私もたま~に行きますよ。」



リエ
「私は友達に誘われて初めて行ったんですけど良かったです。」

黒田
「ところでリエちゃん。会社が美術品等を買った場合の取扱いはわかりますか。」

リエ
「ん~と、美術品などは備品みたいなものだから減価償却資産と同じ取扱いですか。」

黒田
「実はそうとは限りません。減価償却資産とは、資産のうち、事業の用に供していないもの又は時の経過により価値が減少しないものとされますが、美術品等は、時の経過によりその価値が減少しないものとされるため、原則として、減価償却資産に該当しないとされます。

リエ
「確かに、高価な美術品とかが減価償却資産と言われると微妙な気がしますね。」

黒田
「そうですね。実は、平成26年12月に法人税基本通達が改正され、美術品等の取扱いが変わりました。改正前は、書画骨とうという用語が用いられ、書画骨とうに該当するかの判断基準として、

1)

古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの

2)

美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作した書画、彫刻、工芸等

3)

書画骨とうに該当するか明らかでない美術品等で、その取得原価が1点20万円(絵画は号2万円)以上のもの
のいずれかに該当するものであれば、書画骨とうに該当するものとされていました。」

リエ
「なるほど。では、書画骨とうに該当するか明らかでないもので、取得価額が20万円未満であれば減価償却資産に該当するということですね。」

黒田
「そうですね。また、複製画など、複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものも減価償却資産となります。」

リエ
「改正後はどうなるんですか。」

黒田
「はい。改正後は、「書画骨とう」という用語が「美術品等」に改められ、

1)

古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの

2)

1)以外の美術品等で、その取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。)
とされ、平成27年1月1日以後取得する美術品等から適用されます。」

リエ
「減価償却資産の範囲が広がったんですね。」

黒田
「そうですね。従前の規定が業界の実情から大きくかけ離れているなどといった声もあり、美術品等の取引価額の実態等についての専門家の意見等を踏まえ、改正が行われました。なお、平成26年12月31日以前に取得し、非減価償却資産に該当していた美術品等について、平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度において、再判定を行い、減価償却資産に該当することとなった場合には、当該事業年度から減価償却を行うことができます。」

リエ
「これから美術品等を購入する会社が増えそうですね。ありがとうございました。」