自宅を売却したときの税務
   
カテゴリ:税務
作成日:07/26/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





亀井工場
「黒田さん、ちょっと相談があるのだけれど、いいですか。」


黒田
「はい、お聞きしますよ。」



亀井工場長
「いよいよ実家で母と同居することになりまして、引っ越しが終わったら今住んでいる家は売却しようと思っているんだ。」

黒田
「なるほど。売却せずに、貸し付けるという方法もありますよ。」

亀井工場長
「それも考えたんだが…。実は息子が留学したいと言い出しましてね、引っ越し費用もあるし、そんな金はない! と言ったんだよ。でもちょうど誰も住まなくなるのだし、自宅の売却をすれば大きなお金が入ってくるなと思ってね。」

黒田
「留学ですか。それは確かにお金がかかりますね。」

亀井工場長
「そうなんだよ。幸い自宅は駅からも近いし、売却すれば良い値段がつくとは思うんだ。ただ譲渡所得というのだっけ、自宅とはいえ売却で得た収入にも課税されてしまうよね。留学費用に回すために売却を検討しているんだから、税金を払ったらほとんど残らないってことなら考え直すんだけど。」

黒田
「そうですね、では譲渡所得について考えみましょう。ご自宅ということなので、いくつか特例もあるんですよ。」

亀井工場長
「特例ですか。」

黒田
「はい。まず基本的なことですが、売却予定のご自宅の取得費はわかりますか。購入代金や建築費用のことですが、この取得費と、売却時の手数料などは所得金額から差し引きます。」

亀井工場長
「調べればわかると思うよ。でも建てたときはまだ近くに駅がなくてね、今考えるとびっくりするぐらい安かったんだ。」

黒田
「そうなると、収入金額と取得費の差額が大きくなると予想できますね。
   ここからが特例ですが、マイホームの売却の場合は、3000万円の特別控除があります。それから、軽減税率の適用もあります。
   計算式は
(収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除3000万=譲渡所得金額(A)
 A×税率(※)=譲渡所得にかかる所得税額
となります。
もし取得費がわからなかった場合は、収入金額の5%、として計算されます。」

売った年の1月1日において所有期間が10年超である場合の税率(軽減税率の特例)
Aが6000万円以下の場合 …10%
Aが6000万円超の場合  …(A-6000万円)×15%+600万円
(平成49年までは復興特別所得税2.1%を加算)

亀井工場長
「なるほど。取得費がわからないと所得は多くなってしまうんだね。ほかに気を付けることはあるかな。」

黒田
「これらの特例を適用するための主な要件として、売却相手がご家族などの特別な関係の人ではないことや、家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を駐車場などとして利用しないことなどがあります。」

亀井工場長
「そうか、身内ではいけないんだね。あの立地なら業者でも高く買ってくれるだろうし、見積もりを貰って税額の計算もしてみようかな。黒田さん今日はありがとう、また相談させてもらうね。」

黒田「はい、何なりとご相談ください。」

参考資料:タックスアンサーNo3302マイホームを売ったときの特例
     No3305マイホームを売ったときの軽減税率の特例