一定の土地等の売却で1000万円の特別控除を受けられる!?
   
カテゴリ:税務
作成日:03/08/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





田中社長
「やぁ、黒田さん。ちょっと聞きたいことがあるんだがいいかな。」

黒田
「こんにちは。何でしょうか?」



田中社長
「以前にお話しした私が所有している遊休の土地なんだが、売ってしまおうかと考えていてね。」

黒田
「会社に贈与を検討していた土地ですね。確か、値上がりして含み益が出ていましたね。」

田中社長
「そうなんだ。不動産投資も考えたんだがね。仮にこの土地を売却した場合には、税金はどのくらいになりそうかな。」

黒田
「確か、2000万円で購入されたんですよね。今、時価はどのくらいでしょうか。」

田中社長
「前とそんなに変わっていないから3000万円くらいだと思うよ。」

黒田
「時価で売れると、土地の譲渡対価が3000万円ですから、取得費2000万円を差し引いた1000万円が譲渡所得となります。原則、この譲渡所得に対して、所有期間に応じ、5年以内の短期所有であれば30%又は5年超の長期所有であれば15%の所得税が課税されることになります。その土地は、いつ頃、ご購入されたかわかりますか。」

田中社長
「確か平成22年頃だったと思うよ。土地が値下がりしていて、何かに有効活用できればと思って買ったんだ。」

黒田
「平成22年の取得の場合、平成28年以後に譲渡すると、所有期間が5年を超えることとなるため、今回の譲渡所得1000万円は、長期譲渡所得に該当し、15%の税率により所得税が課されます。」

田中社長
「なるほど。そうすると150万円程の所得税が課されることになるんだね。」

黒田
「そういうことになります。ただし、平成22年にご購入された土地なので、1000万円の特別控除の適用を受けられる可能性もあります。」

田中社長
「どういうことなんだい。」

黒田
「はい。個人が、平成21年に取得した国内にある土地等を平成27年以降に譲渡した場合又は平成22年中に取得した土地等を平成28年以降に譲渡した場合には、その土地等に係る譲渡所得の金額から1000万円を控除することができるという制度です。ただし、
1)親族など特別な間柄にある者から取得した土地等である場合
2)相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済及び所有権移転外リース取引により取得した土地等である場合
3)譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど他の譲渡所得の特例を受ける場合
のいずれかに該当する場合には、この制度の適用はありません。」

田中社長
「なるほど。今回売却を検討している土地は第3者からの購入だから、譲渡にあたり他の特例を受けなければ、この制度が受けられるんだね。ということは、長期譲渡所得金額1000万円から特別控除額1000万円を控除すると0円になるから、所得税はかからないのかな。」

黒田
「おっしゃる通りです。長期譲渡所得金額1000万円から特別控除額1000万円を控除すると所得税の対象となる課税長期譲渡所得金は0円となるので、土地の譲渡に関しては、所得税が課税されません。」

田中社長
「それなら売却しても税金の心配はないね。これ以上値上がりしなければだけど。でも、安心したよ。ありがとう。」

黒田
「とんでもないです。また何かありましたら聞いて下さい。」