空家等対策の推進に関する特別措置法
   
カテゴリ:税務
作成日:06/23/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





リエ
「黒田さん。最近、空き家に関するニュースをよく耳にしますが、具体的にはどういうことですか?」
 


黒田
「平成25年に実施された住宅・土地統計調査では全国の空き家は820万戸となり、総住宅数に占める空き家の割合は13.5%となりました。」


 

リエ
「えっ! 空き家ってそんなにあるのですか? なんだか勿体無いですね。」

黒田
「そうなんですよ。今までも一部の地方自治体で空き家対策は行われていたのですが、中々捗らないので、平成26年に『空家等対策の推進に関する特別措置法』が成立し、いよいよ国を挙げての空き家対策が実施されるようになりました。」

リエ
「今後はどうなっていくのですか?」

黒田
「空き家の中でも特にひどい状態のものを『特定空家等』と言います。具体的には

(1)

倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

(2)

著しく衛生上有害となるおそれのある状態

(3)

適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

(4)

その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にある空き家に対して市町村が立入調査・指導・勧告・命令・代執行を行うことが法的に根拠づけられました。」

リエ
「今までも地方自治体で空き家対策は行われていたのですよね。どうして捗らなかったのでしょうか?」

黒田
「原因の1つとして、所有者の把握が困難であるということがありました。しかし、今回の同法成立で、固定資産税情報の内部利用が可能となり、より実態を把握しやすくなりました。」

リエ
「なるほど。」

黒田
「また、固定資産税の住宅用地特例制度も空き家が増える原因となっていました。」

リエ
「どういうことですか?」

黒田
「これまでは空き家であっても、住宅が建っていれば固定資産税・都市計画税の課税標準額が減額されていました。(*)所有者にしてみれば、家屋の解体費用を捻出し、その上、固定資産税が増額するよりは、空き家をそのままにしておくが負担が少なくて済む訳です。」

(*)住宅用地特例を使った課準額の算出
一戸あたり
小規模住宅用地
(200㎡以下の部分)
一般住宅用地
(200㎡超の部分)
固定資産税
評価額×1/6
評価額×1/3
都市計画税
評価額×1/3
評価額×2/3
 

リエ
「確かに使い道がない家などは、そのまま放置してしまいますね。」

黒田
「今後、特定空家等の勧告を受けた敷地は住宅用地特例制度の対象から除外され、非住宅用地となり、評価額の70%が課税標準額となるので固定資産税の負担は増加しますね。」

リエ
「増額した固定資産税を払い続けるのなら、何らかの対策が必要ですね。」

黒田
「はい。自治体によっては費用補助など空き家対策のサポートを受けられるところもあるので、一度確認した方がいいですね。」