オリンピックの報奨金と所得区分
   
カテゴリ:税務
作成日:09/06/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



黒田
「リエちゃん今回のオリンピックは日本代表選手の活躍で、大変盛り上がりましたね。特に陸上競技の400メートルリレーなどは、感動しましたね。」






リエ
「私もテレビで観戦していました。メダルを取った瞬間、家族全員で興奮してしまいました。」

黒田
「今回のオリンピックは、なかなかメダルを取ることができなかった種目が頑張りましたね。」

リエ
「そうです。私たちに沢山の感動を与えてくれました。ところで、メダリストには、財団法人日本オリンピック委員会(JOC)や競技団体からご褒美として報奨金が支給されるようですが、その報奨金は所得税法上どのような扱いになるのでしょうか。」

黒田
「JOCや財団法人日本身体障害者スポーツ協会(JPSA)から交付される報奨金については、非課税とされています。また、JOCやJPSAに加盟している競技団体等で、文部科学大臣の指定を受けたものから交付された金品についても一定額を非課税とされています。もともと租税特別措置法で非課税とされていましたが、H22年度税制改正で所得税法の本則に規定されました。」

リエ
「いま、『一定額の報奨金は非課税』とお話しされましたが、非課税の枠が決められているのですか。」

黒田
「加盟している競技団体等からの交付金については、財務大臣が順位に応じて金額を定めており、その定めた金額に相当する金額について所得税を課さないとされています。財務大臣が定める金額は、オリンピック競技大会において第一位に交付される金額は300万円、第二位には200万円、第三位には、100万円となっています。非課税の枠を超えた部分は一時所得として課税されます。」

リエ
「加盟していない競技団体やスポンサー企業から支払われる報奨金については全額課税されることになるのですか。」

黒田
「そうなります。全額一時所得扱として所得税が課せられます。」

リエ
「選手の中には、企業に所属している方もいると思います。その企業から報奨金が支給された場合は、給与所得として源泉税を徴収するのですか。」

黒田
「その通りです。企業に所属している選手は使用人という立場になりますので、賞与と同じ扱いとなります。」

リエ
「メダルを取るために人一倍努力をし、一生懸命頑張ったのですから、すべての報奨金を非課税扱にしてくれるといいのに。」

黒田
「本当にそうして上げたいのですが、出場競技によって所属する連盟や協会からの報奨金が高額になる方もいらっしゃいます。そして自分自身のために努力した結果得たものという点では、一般の方と大きく異なるわけでもありませんので、あまり優遇してしまうと、公平性を損なってしまうということだと思います。ただ非課税の枠をもう少し広げてあげてもいいのではと思いますがね。」