中小企業の海外展開
   
カテゴリ:その他
作成日:08/28/2012
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 中小企業が海外でビジネスを展開することについて、リエちゃんが中小企業診断士の進藤さんに聞いています。

リエ
「この前、商工会議所のセミナーで、政府が中小企業の海外での事業展開を支援していると聞いたのですが、人材も資金も少ない中小企業が単独で海外展開するのは難しいですよね。」

進藤
「単独では難しいから、国が支援するということです。日本の経済は今、少子高齢化などによる構造的な課題を抱え、長期的に規模の拡大を期待できない状況にあります。さらに、昨年の東日本大震災は、被災地域だけでなく日本全体に産業や生活に大きな被害を残しており、全国的な経済活動の停滞をもたらしています。」

リエ
「逆にアジアなどの新興国は、高い経済成長が続いて、今とも大幅な経済発展が見込まれているということですよね。」

進藤
「そういうことだから、成長する海外に事業を展開することは中小企業にとっても避けられないことだと考えられています。」
 


リエ
「それと、セミナーでは、日本の企業の廃業率が開業率より高い傾向が長く続いているということをお話しされていましたが、これは人口とともに企業の総数も減っているということになりますよね。」
 
進藤
「毎年、中小企業庁が発行している“中小企業白書”に、企業の開業率・廃業率のデータが出ています。それによると、サービス業以外は20年くらい前から廃業率が開業率を上回っています。サービス業でも10年くらい前から同様の傾向になっています。そこで、人口も企業も減少傾向にある日本は、成長する海外に事業展開していかなければ維持発展していくのが難しいということになります。」

リエ
「では、中小企業の海外展開に政府はどのような支援をするのですか。」

進藤
「昨年、中小企業庁が“中小企業海外展開支援大綱”を発表しています。その中で、次の5点を重点課題として支援施策を定めています。
 

1.

情報収集・提供
・セミナーの開催、成功事例の収集、各国の法規制などの情報収集と提供
・経産局、ジェトロ、中小機構など組織を超えた情報の共有化
 

2.

マーケティング
・商品開発やブランド化の支援
・安全、安心等の信頼性を確保してPR
・海外バイヤー等の招へい及び国内展示会への出展
・海外展示会への出展及び海外ミッションの派遣
・インターネットを活用した新規市場開拓支援
 

3.

人材の育成・確保
・海外事業管理責任者や海外取引実務者など海外展開に対応できる人材の育成
・OB人材と中小企業のマッチングなどによる海外展開に必要な人材の確保
 

4.

資金調達
・商工中金、日本政策金融公庫などによる金融面での支援
・海外主要銀行と業務提携による現地通貨での資金調達支援
 

5.

貿易投資環境の改善
・海外拠点設立のために必要な情報の提供
・海外展開に伴う法務・税務・労務、知財保護、技術流出防止の支援
・貿易・投資手続きの簡素化、経済連携の推進等による貿易投資の円滑化
 
中小企業庁では、以上の各項目について目標を決めて支援を実行しています。」

リエ
「グローバル化が、大企業だけでなく中小企業も当たり前のように避けられない時代ということでしょうか。英語をもっと勉強しないといけないですね。ありがとうございました。」