新型インフルエンザとBCP
   
カテゴリ:その他
作成日:09/29/2009
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 営業の田村さんが旭課長に相談しています。

田村
「お得意先のA社さんから“おたくの会社では営業マンが新型インフルエンザにかかったら、どうやって対応するの?”と聞かれましたけど何か対策があるのですか?」

旭課長
「それはA社さんのBCPの中で確認することになっているので聞かれたものと思いますよ。BCPでは、取引先の緊急事態への対応を確認検討することになっていますから。当社でも以前作成して配布したのですが……。」

田村
「そういえばタイトルに“BCP”って書いてある小冊子をもらいましたね。よく読んでなくて、すみません。BCPって何ですか?」
 

旭課長
「BCP(business continuity plan)は、日本語で“事業継続計画”といって、震災や大火災、新型インフルエンザの大流行などの緊急事態に備えて、“緊急時にどの事業を継続させるのか? そのために何を準備しておくのか?”などを検討し、中核となる事業を継続するための対策をとりまとめた計画のことです。」

 
田村
「では、なぜ得意先のA社さんがウチの会社のことを聞いてくるのですかね。」

旭課長
「会社が事業を継続するためには、自社だけでなく取引先の継続も不可欠ですから、内閣府が発行しているBCPのガイドラインにも“関連のある企業の事業継続に関する情報を集めるとともに、自社の事業継続計画の現状についてあらかじめ理解を求めておく”と書いてあります。得意先のA社さんもそのガイドラインに沿って、取引先である当社のBCPに関する情報を聞いてきたものと思います。」

田村
「A社さんから突然聞かれて戸惑ってしまいました。ところで、BCPはどのように策定するのですか?」

旭課長
「次のような手順で策定します。1)中核事業の特定:企業の存続維持および事業の社会的必要性などの観点から中核となる事業を特定する。2)重要業務の把握:中核事業を継続させるための重要な業務を把握する。3)ボトルネック資源の洗出し:重要業務を継続するために必要な資源(人、物、金、情報など)を洗い出す。4)レベルの設定:受ける被害の段階に応じて、中核事業をどのくらいのレベルで継続させるのかを設定する。」

田村
「緊急事態の中でも、新型インフルエンザと自然災害では対応が異なりますよね。インフルエンザの場合は人の確保が主な問題になり、地震などの自然災害では建物・設備など物の確保・復旧が大きな問題になると思いますが。」

旭課長
「そうです。そのため、必要資金の確保も新型インフルエンザと自然災害では異なります。インフルエンザの場合は感染予防対策や代替要因の確保訓練の費用が必要になり、自然災害の場合は物の復旧費用が必要になります。」

田村
「では、A社さんにはどのように回答すればよいですか?」

旭課長
「当社のBCPをよく読んでいただければ、書いてありますよ。新型インフルエンザの場合、A.インフルエンザに関する知識・対応を教育する、B.感染防止のルールを遵守する、C.マスクなど必要な物品の備蓄を行う、D.代替要員を確保しクロストレーニングにより訓練しておく、などが計画に記載されています。」

田村
「よく読んでA社さんに回答してみます。ありがとうございました。」