キャリアデザイン研修をやってみよう
   
カテゴリ:その他
作成日:02/22/2011
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんが来年度の研修計画について旭課長に相談しています。
 


リエ
「来年の研修計画を検討するために、先日研修会社のセミナーに行ってきたのですが、その中で“キャリアデザイン”の研修が最近多くなっているという話がありました。そういえば最近“キャリアデザイン”という言葉をよく聞きますね。」
 
旭課長
「キャリアデザインという場合の、“キャリア”の意味は“職業生活”すなわち人生における仕事の部分ということで、“キャリアデザイン”というのは長期的に職業生活を描く(デザインする)という意味で使われていると思う。」

リエ
「長期間にわたって仕事をすることは昔から当たり前なのに、最近になって多く聞くようになったのは何故でしょうか。」

旭課長
「一昔前は、学校を卒業して一度就職したら定年まで同じ仕事を続けるという考え方、すなわち“終身雇用”が支持されていたので、サラリーマンが転職しながら職業生活をしていくということは一般的ではなかった。どちらかというと“キャリアデザイン”はアメリカ的な考え方で日本には馴染まなかったのだと思う。」

リエ
「キャリアアップのためというより、倒産、人員削減などによる転職の必要性が増えたからということでしょうか。」

旭課長
「そういう面はあると思う。1990年代後半から景気の悪化に伴い、倒産とか人員削減をする企業が増えて、“終身雇用”が崩壊してしまった。そこで、サラリーマンは会社がたとえ倒産しても、いつでもどこでも仕事に就けるように準備することが求められ、キャリアデザインの必要性が一般に広がってきたようだ。ただ、最近ではもっと積極的にキャリアアップのために取り入れていこうという動きがあり、“キャリアデザイン”を専門的に学ぶコースや学科を設けている大学も増えている。」

リエ
「それは、学生の就職難ということも背景にありそうですね。」

旭課長
「その通りで、最近特に注目されるのは、学生の就職難のほか、非正規社員の増加、それから高齢化および年金給付年齢の引上げによる就業年数の長期化、それに伴う中高年層の就職難など雇用への不安と戸惑い、人生設計の困難という背景があり、若年者から年配者まで幅広い層の人が学びたいという機運が高まっている。」

リエ
「幅広い人が学ぶということは、立場によって目的が違うように思いますけど。」
 

旭課長
「そうだね。たとえば、企業は従業員の長期的な人生プランの策定研修を行い、能力開発と労働意欲の向上を図ること、大学は教育機関や事業所での教育に携わる人材を輩出すること、行政は学生および失業者の自立と雇用の支援をすることが主な目的になると思うので、それぞれの立場に応じて学ぶ内容が異なる。」

 
リエ
「具体的にはどのようなことを学ぶのですか。」

旭課長
「一般にキャリアデザイン学は、人生における職業生活に関することがテーマになるので、社会学、教育学、経営学、心理学など幅広く複合的な構成になっているけど、ただ、企業におけるキャリアデザイン研修では、社内外の経営環境と受講者個人の現状分析を行い、今後の職業生活のプランを策定することが最終的な目的になっているのが一般的だ。」

リエ
「職業生活を、会社任せではなく、自立して考えようということですね。研修を通じて自分を見直す良い機会になると思います。」