中小企業経営承継円滑化法について教えてください!
   
カテゴリ:その他
作成日:10/21/2008
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今月から施行された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、中小企業経営承継円滑化法という)について黒田さん、社長、伊豆野先生そして旭課長が話し合っています。

伊豆野
「皆さん、先日お配りした円滑化法の条文は読んでいただけましたか。」
 

社長
「とてもコンパクトで16条と附則しかありませんので目は通しましたよ。国が中小企業の経営承継をバックアップしようとしていることは読み取れるんですがその内容まで理解できていません。」

 
伊豆野
「この法律の対象となるのは、一定の期間以上継続して事業を行っている一定の非上場会社と個人で、基本的には中小企業基本法上の中小企業となります。」

旭課長
「資本金と従業員数について、並びに……という言葉でつないでいますが、いずれも満たす必要がありますか。」

伊豆野
「いいえ、この並びに……は、又は……と読み替えてください。小売業を例にとれば資本金 5千万円以下の会社又は従業員数50人以下の会社及び個人……と解釈してください。」
 


旭課長
「どちらかを満たしていれば良いとなれば対象となる会社の範囲が広がりますね。うちも対象となりそうですね。」
 
社長
「それでは、遺留分に関する規定のところを解説していただきましょうか。」

伊豆野
「まず、遺留分は相続人に保証された最低限の相続権利で、遺言や生前贈与によっても侵害されない権利、通常は法定相続分の1/2とされています。そのため事業承継者以外の方に会社の株式が相続されるケースが考えられ、事業承継が安心・安定してなされない心配があります。」

社長
「株が分散してしまって、次の後継者が主導権を発揮できないことになると経営の安定が図れなくなってしまうよね。それは会社にとってマイナスになりかねない。」

伊豆野
「そこで、遺留分について、民法の特例を設けることにしています。(1)贈与株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる制度と(2)贈与株式等の評価額を予め固定できる制度で後継者の努力によって会社の業績アップによる株式価値の上昇分を相続財産としないことができます。これらは共に、経済産業大臣の確認を受けた後継者が遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることによって、その効力が認められます。いろいろと条件をそろえる必要がありますが、非常に有効な手だてとなると思います。」
 

黒田
「社長、その条件をそろえておくことによって経営承継のための資金融資制度を受けることができますし、相続税の納税猶予の特例を受けることができる予定です。」

 
社長
「ほー、まず資金融資制度について伺いましょうか。」

黒田
「経済産業大臣の認定を受けた中小企業者とその代表者に対して、相続の発生に伴って必要となる資金調達を支援する制度が設けられています。通常の融資とは別枠で信用保証が受けられますし、後継者個人(代表者)に株式等の買い取り資金や相続税の納税資金などの融資をおこない承継を支援しようとするものです。」
 


伊豆野
「また、相続税法関連ですが、後継者が相続等によって取得した自社株式(非上場株式)等の課税価格の80%にあたる相続税の納税を猶予するという特例が設けられる予定で、その詳細についてはこれから明らかになってくるものと思われます。これについてはその都度ご案内をさせていただきます。」
 
社長
「先生、これからは息子を交えて事業承継をどう進めていくかを検討していくことになりますね。なお一層のご指導をお願いします。」

伊豆野
「今日は、駆け足で円滑化法についてご案内しましたが日を改めて少しずつ勉強会をしていきましょう。」


 「中小企業経営承継円滑化法」については、中小企業庁のホームページを参照してください。