『自動車事故の対応』について
   
カテゴリ:その他
作成日:03/06/2002
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんが、電話を取ると健さんの焦った声が受話器から聞こえてきました。

リエ
「はい、タナカデザインオフィスです。」


「あっ、リエちゃん、田中だけど、大変なんだよ!助けて!!」



リエ
「ど、ど、どうしたの? 健さん! 落ち着いて慌てないで!!」


「実は今、営業中に車の事故をしてしまったんだよ! どうしよう………」

リエ
「えっ! 大丈夫なの? 今、小泉さんに電話を変わるから待っててね。」

リエ
「あの~小泉さん、健さんから電話なんだけど、車で事故を起こしてしまったようなので、ちょっと電話を変わってください。早く、早く。」

小泉
「よし、わかった。」

小泉
「はい、電話かわりました。小泉だけど、健さん詳しく状況を教えてくれないか。健さん自身のケガは無いですか?」


「はい、私の方はケガはしていませんが………。私が左折しようと思って交差点に入ったところ、路肩を直進してきたバイクに乗った学生を巻き込んでしまいました。」

小泉
「なるほど、相手の方はケガしていませんか? ケガをしていたらもちろんですが、外傷が無いとしても万全を期して救急車の手配をしてください。それと、相手の方が大丈夫だと言っても絶対に双方で示談だけはしないでください。必ず、警察を呼んで事故報告をして調書を作成してもらってください。それと、できれば事故を目撃している人がいればその方の連絡先を聞いておいてください。」


「はい、わかりました。その後は、どのようにしたらよいでしょうか?」

小泉
「健さん、営業車のボンネットの中に車の任意保険の証券があると思います。そこに書いてある代理店又は事故処理センターに事故報告をしてください。もし、時間が無いようでしたら、こちらから保険会社には連絡しておきますので、安心してください。」


「はい、わかりました。もし、保険会社に連絡できなければ、後でお伝えします。」

小泉
「それと、もし救急車で搬送されるのでしたら、搬送先の病院名と住所を聞いてください。バイクの運転者の名前と緊急連絡先も聞いておいてください。」


「はい、わかりました。また、状況がわかり次第、連絡します。」

小泉さんが電話を切ると………


リエ
「小泉さん、健さんは大丈夫ですか? 心配です。」

小泉
「全く心配しなくても大丈夫だよ。健さんはケガをしてないようだし、相手の方のケガも大したことがないようだから。こういう万が一の時のために保険に加入しているんだから、あとは保険会社に任せればいいんだよ。ただ、相手がケガをしていたらお見舞いには行くべきだから、健さんから連絡が入ったら教えてください。」


リエ
「はい、わかりました。小泉さん、ちょっと質問ですが事故をしたときは謝ってはいけないと聞いたことがありますが、本当ですか?」

小泉
「リエちゃん、それは誤解だよ。相手がケガ等しているときは、優しく大丈夫か声を掛けていいんだよ。その後の保険の査定等で悪くなることは無いんだよ。ただし、こちらがすべて悪いので、責任はすべて取りますというようなことを話したり、ましてそのような示談書を書いてはいけないよ。とにかく、相手のケガ等には誠意をもって対処して、後は保険会社が対応することを相手に伝えればいいんだよ。」

リエ
「なるほど、よくわかりました。いつも経理で保険料が高い高いと思っていたけどこんな時には必要なんですね。」

小泉
「リエちゃん、その通りだよ。会社はこういうリスクに対してしっかりと対応しておかないといけないんだよ。社員みんなが安心して働けるようにね。さて、一応こちらからも保険会社に連絡しておこう。」