海外勤務になった場合の年金の取扱いには問題が…
   
カテゴリ:その他
作成日:04/15/2008
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は社会保険労務士の守田先生がいらっしゃっています。

リエ
「知り合いの友人に聞かれたのですが……。」

守田
「何ですか?」
 

リエ
「日本を離れて海外勤務になった場合、年金はどのように取り扱われるのでしょうか?個人の所得税については先日うかがったのですが、年金に関してはどうなのかなと思いまして。」

 
守田
「海外に派遣される日本人については、次のような問題が生じています。
 

1)

日本と外国の年金制度等の両方に加入し保険料を負担しなければならない場合がある(二重加入の問題)
 

2)

外国の年金制度に加入した期間が短いと、年金給付が受けられない場合がある(保険料掛け捨ての問題)」
 
リエ
「なるほど。確かに二重加入を強いられて保険料を負担しても、それが掛け捨てになってしまったらもったいないですよね。」

守田
「その通り。これらの問題を解決するために、社会保障協定が締結されています。」

リエ
「それはどういうことですか?」

守田
「大雑把に言えば、二重加入の問題については、派遣期間が5年を超える見込みの場合には相手国の、5年を超えない見込みである場合には自国(日本)の法令のみを適用する。保険料掛け捨ての問題については、両国間の年金制度への加入期間を通算して、年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようにする。ということです。」

リエ
「それはいいですね! でもそれはどこの国に派遣された場合でも同じ扱いなのですか?」
 


守田
「残念ながらそうではないんです。わが国と協定が締結され、発効となった国々に派遣された場合が対象で、現在、ドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダとの間で、協定が発効されている。」
 
リエ
「これだけ国際化しているのですから、もっと対象となる国があってもいいのに。」

守田
「そうだね。現在、複数の国との間で交渉中や協議中のようだから、今後、対象国は増えていくと思われます。その友人には、派遣される国とわが国との間で協定が締結・発効されているか、確認するように言っておくといいですよ。それに、発効されている場合でも国によって内容が異なっている場合があるようだから、社会保険事務所に問い合わせてみるといいでしょう。」

リエ
「よく分かりました。ありがとうございました。」