給与と報酬の違い
   
カテゴリ:その他
作成日:01/08/2008
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「課長、ちょっと伺いたいのですが。昨年中途入社された方ですけども、前職が派遣会社で、1月をすぎてから報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書というものをもってきました。」

旭課長
「支払調書で、源泉徴収票ではないんだね。」
 


リエ
「はい。その方は、前職分の源泉徴収票を年末調整計算の時点で提出していなかったので、すでに、前職分お給料なしで年末調整を済ませてしまったのですが。」
 
旭課長
「うん。」

リエ
「…確定申告が必要ですよね。」

旭課長
「そうだね、確定申告が必要だ。前年1月1日から12月31日までの報酬を申告しないといけないんだよ。本人に当社からの源泉徴収票とその支払調書をもって確定申告をするように伝えて下さい。」

リエ
「はい。わかりました。それにしても、派遣会社ってわかりにくいですね。」

旭課長
「契約を締結した上で、本人に告知しているんだろうけど、実際はうまく伝わっていないんだろう。こういったことはよくあるようだよ。」

リエ
「今、派遣社員というのが一種のステイタスのような扱いですけど、契約内容は自分できちんと理解していないと困ることがありますよね。」

旭課長
「そうだね。その年の1月から12月までの弁護士や税理士などに対する報酬いわゆる源泉徴収義務が生じる支払いや不動産賃借料などで一定のものについては、その支払いをした者が支払先の住所や氏名、支払金額及び源泉徴収税額などを所定の支払調書に記載して、翌年1月31日までに税務署へ提出することが義務付けられているものだけど、最近では派遣業務によって報酬扱いにする会社が増えているようだ。」

リエ
「そうなんですか。」

旭課長
「報酬扱いにすることによって、事務手続きは簡単だしね。」

リエ
「どういうことですか?」

旭課長
「あくまでも想像なんだけど、従業員として雇用するとなると、労働保険や社会保険への加入が義務付けられることになるし、労働者としての権利も与えなければならなくなるから、それによって生じるコストを避けたいんじゃないかと思うよ。」

リエ
「給与扱いは源泉所得税の税額もお給料金額によって異なりますし、繁雑になってきますね。」

旭課長
「そうそう。ただ、税務上は給与なのか報酬なのかは実体によって判断しなくてはならないので、当事者が自由に決めていいことではないけどね。」

リエ
「本人が負担する税金も変わってきますか?」
 

旭課長
「どっちが得かは一概には言えないけど、給与ではなく報酬ということであれば、収入から実際にかかった必要経費を差し引いた金額が所得だけど、給与だったら税法で決められた給与所得控除額を差し引いた金額が所得なので同じになることはまずないだろうね。」

 
リエ
「やっぱり給与かそうでないかというのは結構重要なんですね。とりあえず、今回は本人に3月15日までに確定申告をするように伝えるということでよろしいでしょうか。」

旭課長
「そうですね、お願いします。」