『リスクマネージメント』
   
カテゴリ:その他
作成日:04/22/2002
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は月一回の定例会議です。

小泉
「では、これから定例会議を始めたいと思います。よろしく御願い致します。」

全員
「よろしく御願い致します。」

小泉
「さて、今日の議題として、会社を運営していくには、多額な支出が伴うようなリスクを事前にケアしておく必要があると思うんだけど、どんなリスクが考えられるか述べてください。」



リエ
「えっと~、先日の自動車事故のように、会社を運営していく中で多額な損害金が必要なものがあると思います。」

小泉
「なるほど、リエちゃんの言う通りだね。他に多額の損害金が必要なことはないだろうか?」

亀井
「はい、まず一点目に工場内での従業員の怪我についてですが、印刷物の切断機等で誤って切断機に手を巻き込んでしまう可能性があります。もう一点目に工場での火災により、工場そのもの及び機械等の什器、紙等の材料・製品等が燃えてしまう損害、または工場が火災のあと、復旧するまでの休業中の逸失利益が考えられます。」

小泉
「うむ、その通りだね。亀井さん、製品に対するリスクは考えられますか?」

亀井
「はい、製品に関しては、製造物賠償責任いわゆるPL法ですが、当社の場合該当する可能性が少ないと思いますが、現況では必ず危険なものについては絵文字や注意事項の但し書き等で消費者に注意を促しています。」

小泉
「わかりました。ただ、当社の製品も印刷物の多様化で様々なものになっているのが現状です。万が一の事故に備えるのがベストと考えます。他にはありませんか?」


旭課長
「はい、経理面から考えますと、役員及び従業員の退職金の準備や社長に万が一のことがあった時にスムーズな事業承継できるために、当面の運転資金の確保が必要になると思います。例えば、社長に万が一のことがあったことにより得意先の減少等で売上が減少した場合でも、当面の仕入れ先等の買掛金の支払いや借入先の借入金を返済する財源を確保しておく必要があります。」


小泉
「なるほど、会社を経営していく中で皆さんが言ってくれたように、とても沢山のリスクがあることがわかりますね。この沢山のリスクを事前にケアしておくことが経営上重要になります。これをリスクマネージメントと言います。では、具体的なケア方法を考えたいと思います。」

リエ
「自動車事故については、自動車保険に加入しておけばいいと思います。」

小泉
「その通りですが、車両の入れ替えや運転者の年齢等をしっかり把握した上で車両毎の管理をしておかないと保険金が支払われないことがあるので、徹底した管理をしてはじめてリスクマネージメントしたことになります。」

リエ
「はい、わかりました。再度車両一台ずつに保険を見直しておきます。」

小泉
「うむ、では亀井さんの言ってくれたリスクの具体的なケアを教えてくれないかな。」

亀井
「はい、従業員の怪我については、労災保険に加入はしていますが、民間の損害保険の傷害保険にも加入しておく方がいいと考えます。火災については現況で火災保険に加入はしていますので、補償額が適正であるか再度見直しをして、休業補償については火災保険の特約として加入しておく必要があると思います。」

小泉
「うむ、なるほど。では、旭さんの言ってくれたリスクの具体的なケアを教えてくれないかな。」

旭課長
「はい、退職金については退職金規程を見直して、様々な保険や金融商品を選択しながら長期的に資金を積み立てしていく必要があります。役員には小規模企業共済とか従業員については中小企業退職金共済の加入を軸にして他の金融商品も含めた長期的な運用が必要だと思います。社長に関しては、当面の運転資金を確保するために法人契約の生命保険に加入しておくことが必要と考えます。大切なことは、加入したらいいのではなく会社の現況をしっかり把握した上で見直しを定期的にすることです。」

小泉
「なるほど。皆さんの言う通りですね。ただし、リスクが発生したときの対処だけを考えるのではなく、リスクが起きないように事前に防ぐことが一番大事だと思います。」



リエ
「はい、わかりました。喫煙所に大きな字で“火の用心”って書いた紙を貼っておこうっと。」