研修効果測定ってどういうこと?
   
カテゴリ:その他
作成日:10/14/2014
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 先月、外部の講師に依頼して営業マン研修を実施しました。その結果について、リエちゃんが中小企業診断士の新藤さんに相談しています。


リエ
「先日行われた営業マンの研修について、社長から研修の効果を聞かれました。研修後に取った受講者のアンケートを見せたのですが、それだけでは物足りないという感じで、何をお見せしたらよいのか、困ってしまいました。」


 

進藤
「最近は研修の効果測定の手法が一般化されてきて、大企業で取り入れているところも増えてきているから参考にしてみるとよいかもしれない。」
 
リエ
「研修の効果測定? ですか。」

進藤
「欧米で開発されたもので、カークパトリックのレベル4フレームワークとか、ジャック・フィリップスのROIモデルという手法が有名で、ROIモデルを見ると研修の効果を以下の5つの指標で測定することを提唱している。


1.

Reaction & Planned Action:反応、感想、やる気と実行への取組み

2.

Learning:知識・スキルの習得状況

3.

Job Application:業務での行動変容、活用状況

4.

Business Result:仕事の成果、結果

5.

Return on Investment:投資対効果
 

ただ、これらの効果を定量的に把握するのは、かなり難しいと思う。」





リエ
「効果がなければ“その研修は止めよう”という結論になるということですか。測定するスタッフにもかなりプレッシャーがかかりますね。人事部門だけでは評価が難しそうですが、具体的にどのような方法で測定するのですか?」
 

進藤
「効果測定の手法は、一般に以下のような方法を取っている。


1.

受講者アンケート:5段階で評価する。気づき、感想などを聞くことで、効果測定の参考にする。

2.

事前事後テスト:知識、スキルの習得状況を確認する。

3.

受講していないグループとの比較:研修終了後に受講したグループと受講していないグループとの業績などの差を計測し、比較する。

4.

他者アンケートによる変化の測定:事前に受講者の上司や部下・同僚から本人の行動や知識、技能、態度についてアンケートを収集しておき、研修後、再度アンケートを採り、その変化を測定する。

5.

ROI分析:研修に要した費用に対して、研修後どのくらいの業績を生み出したかを測定する。
 

中小企業の場合は、1の受講者アンケートだけで評価している場合が多いけど、大企業では、研修に対するコスト管理など、経営者の要望も厳しくなっており、細かい効果測定が求められているから人事部門も大変だよ。」

リエ
「効果測定を行うために、人事部門はどのような準備が必要になりますか?」

進藤
「研修の目的および目標を設定し、効果測定の方法を決めておくことが必要になる。効果測定を行うには、目的・目標に照らしてその達成度を見ることがポイントになるから。研修の目的が業績向上にあるのなら、研修前後の業績を測定するし、行動改善が目的なら、行動の変化を測定すべきでしょう。そして、予め目的・目標および効果測定の方法について、経営層の承認を得ておくことが重要と思う。」

リエ
「難しそうですが、研修の効果を上げるには、今までと同じではいけないですね。いろいろ改善して、社長に良い報告ができるようにします。ありがとうございました。」