ITの災害復旧に対する準備、DRPの策定
   
カテゴリ:その他
作成日:06/28/2011
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は、当社のホームページ運用でお世話になっているホスティングサービス会社の大島さんがサーバーのメンテナンスに来ています。

リエ
「最近の仕事は、パソコン、サーバー、ネットワークなどIT環境への依存度が高くて、地震災害などでその環境が中断された場合、仕事ができなくなってしまいますね。会社ではどのような対策が必要なのでしょうか。」

大島
「数年前から地震やインフルエンザに対応して事業継続計画(BCP)への関心が高まって、各企業ではその策定が進んでいます。その中で、ITサービスの継続が重要課題として検討されてきました。東日本大震災後、さらに関心が高くなっています。ITに関する災害復旧計画を“DRP:Disaster Recovery Plan”といいますが、BCPの中でも重要な位置づけで、その見直しが行われています。」

リエ
「ITサービスといっても範囲が広くて複雑ですけど。」

大島
「ITサービスは、いろいろな分野がありますが、例えば、基幹業務系、コミュニケーション系、EUC(End User Computing)系というように分けて考えます。基幹業務は、販売システムや会計システムのように、全社的な大量データを定例的に定型的に処理をする分野です。コミュニケーション系は、電子メールや電子掲示板、WEB閲覧など、文書の伝達、情報の共有を目的としています。EUC系はワープロ、表計算などエンドユーザーのシステム分野です。DRPはそれぞれのITサービスについて、災害復旧の対応について検討します。」
 


リエ
「以前、当社でも販売システムのサーバーが故障したことがあり、データをバックアップから復旧したことがありました。その時はデータのバックアップのタイミングが問題になりましたね。」
 
大島
「そういう時、いつの時点のバックアップで、それを復元してから最新の状態にして通常運用できるまでにどのくらいの時間がかかるか、ということが問題になります。DRPを策定する時は各システムごとに、その指標として、目標復旧時点(RPO:Recovery Point Objective)と目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)を設定し、さらに被災後、業務をどのレベルまで復旧させるか、どのレベルで継続させるかの指標として目標復旧レベル(RLO:Recovery Level Objective)を設定します。」

リエ
「パソコンに保存しているデータ、社内サーバーに保存しているデータ、社外サーバーに保存しているデータなど、それぞれバックアップのタイミングと復元方法を考えることになるわけですね。」

大島
「現場の復旧作業として、そのようなことも問題になります。業務によってはITを使わずに手作業で対応できるものがあれば、その方法を検討します。DRPを策定する際には、もう少し全社的に見て、1.災害によるリスクの想定、2.業務への影響の分析、3.システム毎のRPO、RTO、RLOの設定、4.緊急時対応体制の準備という手順で検討します。」

リエ
「業務とITの関係を分析することで、今の業務の見直しにもなりそうですね。DRPを策定するときは、いろいろ相談させてください。今日はありがとうございました。」