老齢年金の繰下げ
   
カテゴリ:その他
作成日:06/10/2014
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は社労士の守田先生の訪問日です。




リエ
「先生、こんにちは。先日叔母のところに日本年金機構から『年金請求書の提出について』という封書が届いたそうなんです。よくわからないので確認してもらえないかということで預かってきたのですが……。」
 


守田
「拝見します。これは65歳に達する方の『年金請求書』ですね。今後の老齢年金の受取方について確認する内容のものです。」


 

リエ
「でも叔母はすでに老齢厚生年金を受け取っていますよ。」

守田
「それは『特別支給の老齢厚生年金』といって、65歳より前に受け取れる老齢厚生年金で、制度上は65歳前と65歳以後では異なるものなのです。」

リエ
「その特別支給の老齢厚生年金が、平成25年度から段階的に支給開始年齢が引き上げられている年金なのでしょうか。」

守田
「そうです。」

リエ
「なるほど。話は戻りますが、今回叔母に届いた封書はどういった意味なのでしょうか。今後の老齢年金の受取方の確認って?」

守田
「具体的には繰り下げて受給するかどうかの確認です。」

リエ
「繰り下げですか?」

守田
「はい。老齢年金の繰下げとは、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の受給開始を66歳以降に遅らせることです。遅らせることにより、1ヵ月あたり0.7%の繰下げ加算金が加算されます。」

リエ
「利息がつくというイメージでしょうか。いいですね!」

守田
「そうですね。ご自身の健康に自信があって、まだまだ元気でいられるというのであれば、繰り下げた年金を受け取るのもよいでしょう。また、繰下げにはいくつかのポイントがありますので、以下を確認してください。


1.

1ヵ月あたり0.7%の加算金は、70歳到達以降は42%で固定されます。つまり、70歳になった月(誕生日の前日の属する月)を過ぎて繰下げの請求を行っても、さらに年金が増額されることはありません。
 

2.

繰下げ請求は、遺族が代わって行うことはできません。繰下げ期間中に亡くなられて、遺族の方から未支給請求をする場合、要件を満たしていれば、65歳の本来請求で年金決定されたうえで未支給年金として支払われます。
 

 その他の注意事項等は、同封の案内や日本年金機構のHPに掲載されていますし、個別に相談したい場合は年金事務所の年金相談に行かれるとよいでしょう。なお、繰下げせずに65歳から老齢基礎年金及び老齢厚生年金を受給する場合には、必要事項を記入して提出期限(誕生月の末日)までに返送するようにしてください。提出が遅れると年金の支払いが一旦止められることになります。」

リエ
「分かりました。注意事項を含めて叔母に話して、繰下げするかどうか判断するように伝えようと思います。ありがとうございました。」