従業員のために生命保険をかけたい
   
カテゴリ:その他
作成日:05/07/2013
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 田中社長は、今期の会社業績が多少上向いてきたこともあり、従業員への利益還元の良い方法がないかを考えていました。

田中社長
「課長、このところの景気回復傾向が当社の業績にも表れてきているようだね。」

旭課長
「そうですね。今日もこれから黒田さんと4月分の会計監査を行いますので、後程社長にも同席していただくことにしますので声をお掛けします。」


田中社長
「頼みます。今期の業績次第で従業員への還元策を考えたので、是非黒田さんにアドバイスがもらえるとうれしいね。」


 

 旭課長と黒田さんは、定例の監査を終えたところで早速社長を交えて月次の報告を行うことにしました。

旭課長
「社長、今月の監査の報告です。これまでの累計と前年同月とを比較したものと、今期の決算予測を黒田さんが一覧にしてくれました。」

田中社長
「ご苦労様、うれしい結果が見えそうですね。そこで何か利益還元策がないかと考えてみたんだが、従業員に生命保険をかけてあげたらどうかと。家の長に万が一のことがあったら、残された遺族は経済的不安が大きいし、当社も充分な退職金の準備ができているといえないからね。」




旭課長
「そうですね、その資金手当ては会社にとっても大きな負担ですからね。」
 

田中社長
「それと定年の延長が言われる昨今なので、みなの健康にも注意してあげたいね。医療保険も検討してあげたらどうだろうね。」

黒田
「保険ですが、定期保険契約と養老保険契約によって課税の取扱いが違います。社長は会社が契約者となって保険料を支払い、被保険者を従業員とする契約をお考えと思います。いろいろ契約内容等によって取扱いが異なりますが一部をご紹介します。」

1.養老保険


(1)

死亡保険金と生存保険金の受取人が契約者である会社の場合、支払った保険料には課税はされません。
 

(2)

死亡保険金と生存保険金の受取人が従業員(被保険者)又はその遺族である場合は、支払った保険料相当額は、その従業員の給与所得とされます。
 

(3)

死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が会社(契約者)である場合、支払った保険料には課税されません。ただし特定の従業員のみ被保険者としている場合は、支払った保険料の1/2相当額が被保険者の給与所得とされます。
 

2.定期保険

 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、かつ特定の従業員のみを被保険者としていない限り、支払った保険料は会社の経費となり従業員の給与所得とされません。特定の従業員のみを対象とした場合には、その保険料はその従業員の給与所得とされます。


黒田
「これを参考にしていただいて退職金の準備や医療保険のご検討いただければと思います。」


 

田中社長
「具体的な契約内容を作ってもらって検討しないと分かりずらいね。黒田さんの事務所で保険の代理店業務をしていましたね。こんど時間を取りますので社員にとって有益なご提案を頂けるとありがたいですね。」

黒田
「かしこまりました。所長と相談の上ご提案をさせて頂きます。」

 生命保険契約の課税の取扱いは、契約者、被保険者及び保険金の受取人をそれぞれ誰にするのかによって異なります。専門家である税理士事務所と良くご相談ください。