免税事業者にとって影響が大きい消費税のインボイス方式
   
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作成日:03/22/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





リエ
「黒田さん、消費税の改正関連で『インボイス方式』っていう言葉があったんですけど、どういうものなんでしょうか。」

黒田
「インボイス方式というのは、別名『適格請求書等保存方式』といって、簡単に言いますと適用税率や税額等一定の記載事項が記載された請求書や領収書に基づいて、消費税の仕入税額控除を行うというものです。」



リエ
「消費税の仕入税額控除って、消費税の納付税額を計算する場合に、売上等で預かった消費税から、費用等で支払った消費税を差し引くことをいうんでしたよね。」

黒田
「その通りです。インボイス方式が導入された後は、一定の請求書や領収書、これをインボイスといいますが、これがないと預かった消費税から支払った消費税を差し引くことができなくなります。そして、このインボイスを発行できるのは、登録された消費税の課税事業者のみとされています。」

リエ
「消費税の課税事業者というのは、2年前の売上が1千万円を超える事業者のことでしたよね。」

黒田
「消費税の課税事業者となるかどうかは売上にかかわらず自ら選択することも可能ですし、2年前の売上以外にも判断基準がありますので、一概には言えませんが、原則としてはその通りです。そして課税事業者以外の事業者を免税事業者といいますが、免税事業者はこのインボイス方式でいうインボイスを発行できなくなります。」

リエ
「ということは、免税事業者へ仕入代金や費用等を支払ったとしても、支払った側は仕入税額控除ができないということですか。」

黒田
「そうなってしまいます。インボイス方式が導入されるのが平成33年4月からとされていて、最初の2年間はインボイスのない費用等でも80%、次の3年間は50%の仕入税額控除ができることになっていますが、その後はインボイスのない免税事業者への費用等は仕入税額控除ができないとされています。そのため費用等を支払う課税事業者としては代金の比較や経理処理に注意しないといけなくなります。」

リエ
「そうなると結果的に課税事業者は免税事業者との取引を避けることになりませんか。」

黒田
「そういうことも起こり得ると考えています。場合によっては免税事業者でも敢えて課税事業者となることを選択する事業者もあるかもしれません。」

リエ
「そうなんですね。消費税の税率アップや軽減税率のことはクローズアップされていますが、免税事業者にとってはこれも影響が大きそうですね。」

黒田
「はい、まだ正式に決まったわけではありませんが、今後の動向には注意する必要がありそうです。」