役員退職金の算定方法を教えてください!
   
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作成日:04/26/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





リエ
「黒田さん、こんにちは。今、法人税法上適正とされる役員退職金の算定方法について調べているのですが、“平均功績倍率法”という方法を用いて算定すれば良いのでしょうか。」

黒田
「そうですね。役員退職金の算定方法にはいくつか種類があるのですが、リエちゃんのおっしゃる通り、平均功績倍率法が一般的ですね。ちなみにこの方法では、最終報酬月額×勤続年数×類似法人の平均功績倍率をもって退職金を算定します。」


リエ
「実は、計算要素のひとつである最終報酬月額というのが気になっていまして。最終報酬月額ということはその方が役員を退職されるときの最後のお給料のことを指すのですよね。」

黒田
「えぇ。おおっしゃる通りです。」

リエ
「役員報酬は、業績が良ければ上げて悪い時は下げますよね。たまたま退職時点で業績が悪化したため役員報酬を引き下げた時はどうなるのでしょうか。特に業績の波が大きい中小企業の社長さんは、下げ幅も大きく、極端な話0円にされる方だって少なくありません。そのような場合、平均功績倍率法ですと、問題があるように思います。」

黒田
「リエちゃんのおっしゃる通りです。はじめに平均功績倍率法が一般的とお話しましたが、これはこの方法が退職金の算定方法として、合理的である場合が多いというだけで、税法上この方法を使いなさいという決まりがあるわけではないのです。

 伊豆野先生から伺った話なのですが、実際の裁判例では、平均功績倍率法ではなく、“1年当たり平均額法”を採用したケースもあるそうです。これは、類似法人における退職した役員の勤続年数1年当たりの平均退職給与の額×勤続年数をもって、退職金を算定する方法です。この方法であれば、最後の役員報酬が著しく低くても妥当な退職金を支給できるはずですよ。」

リエ
「私はてっきり平均功績倍率法でしか算定することはできないのと思っていたのですが、他の方法によって算定しても問題ないのですね。」

黒田
「はい。法人税法上、役員退職金の支給額については画一的に考えるのではなく、法人の業務に従事した期間、その退職の事情、同種・類似規模の法人の役員退職給与の支給状況等を総合的に勘案したうえで、合理的に算定するということが重要になります。」

リエ
「黒田さんありがとうございました。」