中小企業等経営強化法による固定資産税軽減
   
カテゴリ:税務
作成日:12/06/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


今日は、リエちゃんが中小企業診断士の進藤さんに、新しい中小企業支援施策について相談しています



リエ
「この前、商工会議所のセミナーで、今年7月に施行された”中小企業等経営強化法”という法律で新しい支援施策があると聞きましたが、この法律はどういう背景で出来たものですか。」



進藤
「大きく2つあります。(1)人口減少・少子高齢化の進展や国際競争の激化、人手不足など、中小企業・小規模事業者等を取り巻く事業環境は厳しさを増しており、足下では生産性が低迷し、人材確保や事業の持続的発展に懸念がある。(2)こうした中で、中小企業・小規模事業者等が労働の供給制約等を克服し、海外展開等も含め、将来の成長を果たすべく、生産性の向上すなわち経営力向上を図ることが必要である。ということが背景になっています。」

リエ
「どのようなスキームですか?」

進藤
「まず、国は、製造業、卸・小売業などの事業分野ごとに経営力向上の方法等を示した”事業分野別指針”を提示します。中小企業・小規模事業者等は、事業分野別指針に沿って、顧客データの分析を通じた商品・サービスの見直し、ITを活用した財務管理の高度化、人材育成等により経営力を向上して実施する事業計画(”経営力向上計画”)を申請して、国の認定を受けます。認定を受けた事業者は、税制や金融支援等の措置を受けることができるというスキームになっています。」

リエ
「”経営力向上計画”策定に対して、サポート体制はありますか?」

進藤
「商工会・商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等、国が認定した経営革新等支援機関が計画策定および申請をサポートします。」

リエ
「税制の支援措置はどのようなものですか?」

進藤
「”経営力向上計画”の認定を受けた資本金1億円以下の中小企業者が、(1)160万円以上の機械及び装置であって、(2)過去のモデルと比較して年間1%以上生産性が向上しているものを購入すれば、当該資産について、3年間、固定資産税が1/2に軽減されるというものです。特に、平成28年度は、既存の設備投資減税(生産性向上設備投資減税)の支援措置と併用して支援を受けられますので、これらの支援措置をよく検討した上で、時期をご検討ください。」

リエ
「固定資産税の軽減は赤字企業でも効果があるので、対象が広がりますね。ところで、金融の支援措置はどのようなものですか?」

進藤
「計画に基づく新しい事業活動を行う場合、以下のような金融支援措置があります。(1)商工中金、日本政策金融公庫による低利の融資。(2)信用保証協会による別枠の追加保証や保証枠の拡大。(3)中小企業投資育成株式会社から通常の投資対象(資本金3億円以下)に加えて、資本金が3億円を超える株式会社も投資対象。その他、中小企業以外の中堅企業に対しても中小企業基盤整備機構および食品流通構造改善機構による債務保証などがあります。」

リエ
「従来の中小企業支援施策より対象を広げたという印象がありますね。これからも新しい支援施策が出来ましたら教えてください。ありがとうございました。」