電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度の改正
   
カテゴリ:税務
作成日:09/27/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





旭課長
「黒田さん。電子帳簿保存法が改正されるというのを耳にしたのですが。」

黒田
「はい。平成29年1月から電子帳簿保存法における国税関係書類、つまりは領収証や請求書のスキャナ保存の要件が改正されます。」





リエ
「えっ! 今までも領収証や請求書のスキャナ保存が可能だったのですか? 全然知らなかったです。」

黒田
「そうだと思います。このスキャナ保存制度は平成17年の税制改正により可能になったのですが、要件が厳しかったのであまり浸透しませんでした。そこで平成27年・28年と改正が行われ、ようやく実用的になったので注目されるようになりました。」

旭課長
「たしか、スキャンする装置は固定型(原稿台と一体となったもの)でなければならない、という要件がありましたよね。」

黒田
「はい。ですので経費精算業務の負担が増え、あまりメリットを感じなかったのですが、今回の改正でスマートフォンやデジカメで撮影したものでもスキャナ保存が可能になりましたので経費精算業務がスムーズになると思います。」

リエ
「領収証を1枚1枚のり付けするのは結構大変なんですよ。それに領収証を持ってきてくれない人がいると経理業務が滞っちゃうので困っていたのですが、これならスムーズになりそうですね。」

旭課長
「ハハハ。耳が痛いね………。黒田さん、ほかにはどんな改正があるのですか?」

黒田
「はい。改正前は領収証等を受領した人・領収証を確認してスキャンする人・事後検査する人と最低でも3人の体制が必要でした。今回の改正で小規模企業者*は税理士等の税務代理人が検査を行う場合には、相互けんせいの要件を不要とし、領収証の受領者がスキャナ保存することで最低2人の体制でも可能になりました。」

 *小規模企業者とは中小企業基本法に定める常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業を主たる事業として営む者については5人)以下の事業者

リエ
「これなら零細企業でも取り組みやすいですね。」

旭課長
「我が社も真剣に検討しなければなりませんね。」

黒田
「そうですね。ただ取り組みやすくなったとはいえ、タイムスタンプの付与や対象文書の範囲など、導入するにはまだまだ要件や制限が多いので、よく検討してください。」