在職している場合の年金受給額は減額されるの?
   
カテゴリ:その他
作成日:09/20/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



黒田
「最近は暑さも幾分か落ち着いてきましたね。」






リエ
「今年は暑い期間が長かった気がします。ところで、黒田さん、60歳を超えて会社勤めをしてお給与をもらっていると年金受給額が減らされたりするというのは本当なんですか。」

黒田
「それは在職老齢年金の話ですね。」

リエ
「ん、その在職老齢年金って何ですか。」

黒田
「在職老齢年金というのは、60歳以降も厚生年金の加入者として働く場合の老齢厚生年金のことです。この年金額が勤務先からもらう給与等の金額との兼ね合いで、一定額減額(支給停止)される場合があります。」

リエ
「へぇ~、それは老年基礎年金も含むんですか。」

黒田
「いいえ、あくまでこの減額等の対象になるのは老齢厚生年金であって、老齢基礎年金は対象から外れます。」

リエ
「そうなんですね。どれくらい減額されるんですか。」

黒田
「支給停止額は、受給者の年齢と、次の2つの金額がそれぞれいくらなのか、そして、その合計額がいくらになるのかによって計算されます。」

☆ 基本月額=老齢厚生年金額(※1)/12ヵ月  (※1) 加給年金額は除く

☆ 総報酬月額相当額=その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額/12ヵ月

黒田
「では、基本的な計算式を次のように示させていただきますね。」

〈60歳以上65歳未満の在職老齢年金〉
1)基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以下
 ?年金の支給停止なし(全額支給)

2)基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が47万円以下
 ?支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-28万円)×1/2

3)基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が47万円超
 ?支給停止額={(47万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}

4)基本月額が28万円超で、総報酬月額相当額が47万円以下
 ?支給停止額=総報酬月額相当額×1/2

5)基本月額が28万円超で、総報酬月額相当額が47万円超
 ?支給停止額={47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}

〈65歳以上の在職老齢年金〉
1)基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以下
 ?年金の支給停止なし(全額支給)

2)基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円超
 ?支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2

◎上記の「28万円」、「47万円」は賃金、物価変動に応じて毎年見直しが行われます。

リエ
「へぇ?、要は年金受給額とお給与等両方を合わせたところでみていく訳ですね。」

黒田
「そうですね。ですから、もし可能であるならば、年金受給額を見据えて、会社役員の役員報酬額や、従業員等の給与額等の決定をしてもらうのも一つの選択肢だと思います。」
リエ「またまた勉強になりました。」