各種控除要件の合計所得金額にご注意!
   
カテゴリ:税務
作成日:03/21/2017
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「黒田さん。確定申告お疲れ様でした。」






黒田
「ありがとうございます。不動産市況が活発なのか、平成28年分は不動産の購入や売却が多かった気がしますね。」

リエ
「そういえば知り合いの方も、息子さん家族と同居することになったので昨年、自宅を売却したと言っていました。」

黒田
「居住用財産の売却であれば、要件次第では3000万円の特別控除を受けられますね。」

リエ
「そうなんです。税務署の無料相談に行ったら、この特例を適用できると聞いて安心していました。ただ、この方は今まで寡婦控除の対象だったのですが、平成28年分は対象外になってしまったそうなんですけど、どうしてですか。」

黒田
「寡婦控除の対象となる人は、夫と死別もしくは離婚した後婚姻していない人または夫の生死が明らかでない一定の人の内、扶養親族がいる人か納税者本人の合計所得金額が500万円以下の人です。」

リエ
「はい。離婚した後婚姻していなくて、扶養親族はいませんけど給与と年金の所得だけなので500万円以下になると思います。」

黒田
「おそらくマイホームの売却で合計所得金額が500万円を超えてしまったのだと思いますよ。」

リエ
「えっ! だって3000万円の特別控除を適用して課税されていませんよ。」

黒田
「ここで言う合計所得金額には、土地や建物の譲渡による分離課税の譲渡所得(特別控除前)も含まれます。合計所得金額にはこの他にも純損失や雑損失の繰越控除を適用する前の総所得金額等も含まれますので、一概に課税されていないからといって合計所得金額が500万円以下とは限りません。」

リエ
「そうだったのですか。」

黒田
「この合計所得金額は寡婦控除だけでなく、寡夫控除・勤労学生控除・扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除などの要件にも出てきますので、これらの控除要件を判断する時は注意が必要ですね。」

「合計所得金額」
純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等に係る譲渡損失、特定投資株式に係る譲渡損失及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等の配当所得(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後の金額)、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額。
* ただし、確定申告不要制度の対象となるものや源泉徴収ありの特定口座内の株式の譲渡所得などで確定申告をしないことを選択したものは合計所得金額から除かれます。