株式の評価方法の改正
   
カテゴリ:税務
作成日:02/21/2017
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



旭課長
「黒田さん、平成29年度の税制改正で株式の評価方法が改正されるようですね。」







リエ
「株式の評価方法って、確か会社の資産と負債を評価して、その差額を基に計算するという方法でしたよね。」



黒田
「よく覚えていらっしゃいますね、今リエさんが仰った方法は『純資産価額方式』といって、取引相場のない株式の評価方法として原則的な方法です。」



旭課長
「でも今回改正されるのはそれとは違う評価方法ですよね。」

黒田
「その通りです。今回改正が予定されているのは『類似業種比準方式』といって、業種が類似する上場株式の市場価格を基に計算する方法です。ちょっと正確とはいえませんが、例えば類似業種比準方式で自社の株式評価額を計算する場合は、次の計算式を基に計算します。」

《計算式》


リエ
「全然分からないんですけど。」

旭課長
「これは私も良く分からないんだよね。」

黒田
「まあそうですよね、この『類似業種比準方式』というのは、原則として一定規模以上の上場していない会社の株式を評価する場合に用いる方式で、業種が類似する上場会社と自社の、『配当』・『利益』・『純資産価額』の3つの要素を比較して、上場会社のそれを上回っているのであれば株式評価額が高くなり、逆に下回っていれば低くなるという計算式なんです。ちなみに上記計算式の内、自社の『配当』・『利益』・『純資産価額』以外の数値は、定期的に国税庁から公表されています。」

旭課長
「なるほど、計算式から考えると何となく分かりますね。」

リエ
「全然分からないんですけど。」

黒田
「すみません、なかなか説明が難しくて。ともかく計算式を見てもお分かりのように、利益のところに『×3』とありますよね。」

旭課長
「うん、あるね。つまりこの方法で株式評価額を計算する場合、『配当』や『純資産価額』と比べて、『利益』の影響が大きいということですね。」

黒田
「さすがですね、仰る通りです。今回の改正ではこの『×3』という部分がなくなって、『利益』による評価額への影響が他の2つの要素と同じレベルになりました。そしてこの計算方法は平成29年1月1日以後の相続や贈与などにおいて適用される予定です。」

旭課長
「なるほどそういう改正ですか。利益というのは年度によって大きく異なることがあるから、たまたま業績が良かった時に相続が発生したような場合は、改正前よりも相続税が少なく済むなんていうことが考えられるんですね。」

黒田
「またまたその通りです。実はこの『×3』というのは平成12年の改正で新たに付け加えられたのですが、それを今回の改正で元に戻すようです。詳しい理由は分かりませんが、旭課長が仰ったようなことも改正理由の一つかもしれません。」

リエ
「全然分からないんですけど!」

黒田
「すみません…。」