パートの社会保険の加入要件が緩和?
   
カテゴリ:人事労務
作成日:12/13/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエちゃんと守田さんが雑談をしています。





リエ
「守田さん、少し前のことになりますが、パートタイマー(短時間労働者)に対する社会保険(健康保険・厚生年金)の適用拡大がされたと聞いたんですが、どのようになったんですか。」

守田
「おっ、リエちゃんも気になっていましたか。では、簡単にですけどお話しますね。」




リエ
「はい、お願いします。」

守田
「今まで社会保険というと収入130万円が加入するかしないかの目安として世間でよく言われていましたよね。」

リエ
「はい。収入が130万円以上になってしまうと夫の扶養から外れて、パートタイマー自身が社会保険の加入対象となってくる話ですよね。」

守田
「そうですね。もう少し補足しますと、パートタイマーの『一日又は一週の所定労働時間(※)』及び『一月の所定労働日数』が正社員の3/4未満(3/4基準)で、かつ収入が130万円未満であれば夫が加入している社会保険の扶養となることができ、それ以外の場合にはパートタイマー自身が社会保険の加入対象になっていました。」

リエ
「そうか、収入が130万円未満であっても、3/4基準を満たしていたら社会保険に加入でしたね。」

守田
「それが今回の改正により、これまでの社会保険の加入要件が緩和され、平成28年10月からこれまでの社会保険の加入要件を満たしていなかったパートタイマーについても、下記の(1)から(5)全ての要件を満たす場合には、社会保険の加入対象とされました。」

〈平成28年10月からのパートタイマー(短時間労働者)に関する社会保険の加入要件〉
 (1)所定労働時間が週20時間以上
 (2)賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)
 (3)雇用期間が1年以上の見込み
 (4)従業員数が501人以上の企業(被保険者数)
 (5)学生は除く

リエ
「改正前の3/4基準は残るけれど、新たに要件が追加されたことで加入対象者が拡がったわけですね。」

守田
「そうなりますね。あと、改正前はおおむね3/4とされていた3/4基準も、改正後はおおむねという表記が無くなり、ずばり3/4と規定されました。」

リエ
「曖昧な表現から数字が明確化されたんですね。」

守田
「はい。今回の改正によりパートタイマーが社会保険に加入するとなると、世帯全体としての負担が大きくなることもありますが、将来の年金受給額が手厚くなることや、パートタイマー自身が病気、ケガをした場合に傷病手当を受けることもできますから、メリット、デメリット両面ありますよね。」

リエ
「なるほど~、そういった視点であまりみてないかも知れませんね。」

守田
「今日は各要件の詳細は省いていますから、具体的に社会保険の加入対象となるかどうかは、日本年金機構のホームページ等で確認する必要がありますね。それから、将来的にはまた加入要件の緩和が想定されていますので、注意しないといけませんね。」

リエ
「守田さん、今日もありがとうございました。」

(※)改正前は「一日又は一週の所定労働時間」でみていましたが、平成28年10月以降の改正後は「一週の所定労働時間」のみでみることになりました。