退職者にも賞与を払うの?
   
カテゴリ:人事労務
作成日:12/07/2004
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 早いもので今年も残り1ヵ月を切りました。12月に入ってから、リエちゃんはウキウキしています。
 


リエ
「うふふ、もうじきボーナスだわ。待ち遠しいなぁ。今年はちょっと奮発してコートを買うんだから。」
 
旭課長
「おや、何かいいことでもあったのかい。ところで、賞与計算はもう済んだのかな?12月15日が支給日だから、そろそろ金額のチェックをしておいた方がいいね。」

リエ
「もちろん完了してます。そうだ、今回の賞与に関する質問があります。11月30日で退職した社員が2名いますが、賞与を払う人と払わない人がいるのはなぜですか?」

旭課長
「それはいい質問だね。2人の退職理由を確認してみよう。賞与を支給する坂下さんは11月中旬に60歳の誕生日を迎えての定年退職、支給しない谷口君は転職による自己都合退職だったね。当社の賃金規程では賞与の支給要件はどう記載されていたか憶えてる?」

リエ
「確か“評価対象期間に在籍する社員のうち、支給日当日に在籍する者”だったはずです。冬季賞与の評価対象期間である6月から11月の6ヵ月間は2人とも全期間在籍しています。でも、2人とも11月末で退職していますから、支給日当日には在籍していません。あれ?本当はどちらも支給対象者には該当しないんじゃないでしょうか?」

旭課長
「その通り。ただし、当社では定年退職者については、支給日当日に在籍していなくても賞与を支給してきた慣習があるんだ。60歳を迎えた月の末日を定年退職日と設定しているけど、今回のケースのように誕生日がたまたま支給日の直前だったという理由で賞与をもらえなかったり、反対に誕生日が12月下旬なら賞与が支給されるというのでは不公平が生じるから、という理由だね。」

リエ
「なるほど!自己都合の場合は退職日を自分で決めることができるけど、定年退職日を自分の都合で決めるわけにはいかないですものね。でもそうすると、賃金規程に定年退職者の特例を記載しておく必要があるのでは?」
 

旭課長
「するどいね。賞与は給与と違って、法律で支給を義務づけられているものではないから、その会社ごとに支給対象者や支給方法が違っている。とはいえ、当社では定年退職者には例外なく賞与を支給しているわけだから、賃金規程に定めておくべきだろうね。次回の就業規則見直しの際に追加しておこう。今日はリエちゃんに一本取られたよ。」

 
リエ
「えへへ。褒めてもらえるのはうれしいんですが、私の賞与は増えないですよね?」