病欠を年次有給休暇に振り替えたい!
   
カテゴリ:人事労務
作成日:10/21/2003
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 後輩の恵子さんが体調をくずして会社を2日休みましたが、今日から出勤です。

恵子
「2日間、ご迷惑をおかけしました。今日から頑張って、遅れた分を取り戻しますよ。でも、休んだ2日分のお給料が減っちゃうのは痛いなぁ………。」

リエ
「あまり無理しないでね。それに病欠した分は年次有給休暇に振り替えれば、給与から控除されないわ。有給休暇はこういう時に使わなきゃ!」

恵子
「えっ、そんなことできるんですか?広告代理店に勤めている姉から、病欠を事後に有給休暇に振り替えることはできないって聞いたものですから。」



リエ
「お姉さんの会社は随分厳しいのね。社員には年次有給休暇を取得する権利があるんだから、それを取らせないのは労働基準法に違反しているんじゃないかしら?」

旭課長
「それは違うよ、リエちゃん。恵子さんのお姉さんの会社は間違っていない。」

リエ
「あれっ、旭課長。ちょうど良かった。有給休暇の取得を許可しない会社が、なぜ法律違反じゃないんですか?」

旭課長
「年次有給休暇の事後振り替えに関しては、実のところ法律の取り決めがないんだ。だから、事後振り替えを認めるかどうかは会社が決めるということになるね。ところで、2人は年次有給休暇の時季指定権と時季変更権について覚えているかな?」
 


恵子
「労働者には取得の時季を指定する権利(時季指定権)があるのに対し、使用者にはその時季を変更する権利(時季変更権)があります。あっ、そうか!有給休暇を事後に振り替える場合は、時季指定権も時季変更権も行使できないことになりますね。」
 
旭課長
「その通り。本来、社員が年次有給休暇の取得時季を事後に指定するなんてあり得ないし、会社は事後言われても取得時季を変更することができない。だから、恵子さんのお姉さんの会社では、事前に申請された有給休暇以外は病欠といえども欠勤控除しているんだと思う。」

リエ
「それじゃ、恵子さんは有給休暇が使えないんですね。」
 

旭課長
「いやいや、そうは言っていない。会社によって考え方が違うことを理解してもらいたいんだ。当社では、恵子さんのように始業前にきちんと連絡が入れば有給休暇に振り替えることが慣習になっているから、大丈夫だよ。無断欠勤の場合はダメだけどね。」

 
リエ
「あー、良かった。ホッとしたわね、恵子さん。」

恵子
「ありがとうございます。今後、社会人として体調の管理には充分気をつけます。」