野球大会でのケガが労災に該当する場合は?
   
カテゴリ:人事労務
作成日:05/31/2005
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 営業の高木君が右足首をギプスで固定して出勤しました。

リエ
「どうしたの、高木君!事故にでも遭ったの?」

 

高木
「いやー、日曜日の野球大会で張り切りすぎてケガしちゃったよ。野球は苦手なんだけど、若いってだけでスタメンに選ばれて。たまたま外野手の頭を超えるヒットを打って、セカンドベースにすべり込んだら、捻挫だよ。今にして思えば、スライディングなんてするんじゃなかった。」

 
亀井工場長
「おー、高木。痛そうだな、大丈夫か。しかしお前、格好いいこと言っているけど、明らかに運動不足だぞ。あんな無様な走塁はめったにお目にかかれないよ。」


リエ
「工場長も試合に出たんですか?あー、そう言えば印刷業の親睦野球大会があるって聞いたことがありますけど、それが日曜日だったんですか。応援に行けば良かったな。」

 


亀井工場長
「試合に出るも出ないも、俺が監督兼キャプテンだからね。最近はチームを作るのに9人集めるのが大変なんだよ。高木には痛い思いをさせて悪かったけど、来年も出てもらうから練習しといてくれよ。」
 
リエ
「それにしても、会社で野球チームを作って試合中にケガをしたんだから、業務災害と考えられなくもないわね。労災申請できないのかしら?」

 

旭課長
「残念ながら、労災には該当しないんだ。労災認定されるには『業務遂行性』が判断材料になるんだけど、こういったケースではポイントが2つあってね。1つは、試合に出場することが出勤扱いになること。もう1つは、試合出場にかかる費用を会社が負担して、本人が負担しないこと。当社では、この親睦野球大会参加を社員の自主的な活動として、試合出場を出勤扱いにしていない。もっともグローブやユニフォームの調達に福利厚生費で一部を会社負担しているけどね。つまり、スポーツ活動を応援はするけれど、事業運営上必要なものとまでは言えないんだよ。」

 
亀井工場長
「治療費の心配だったら大丈夫だよ。試合の時はちゃんとスポーツ用の損害保険に入っているから。今回だって高木はほとんど治療費かかっていないはずだよ。」


高木
「それはそうなんですが……。あー、くやしい。来年はもっとうまくなってみせる。」

 


リエ
「ところで、試合結果は?………。そう、残念だったわね。」