メンタルヘルス対策の取組み
   
カテゴリ:人事労務
作成日:12/15/2009
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は社会保険労務士の守田先生が来て、人事労務の相談に対応しています。
 

リエ
「先日、工場勤務の社員がうつ病になってしまい、休職することになりました。仕事に対して強い不安やストレスを感じる社員が年々増えているので、当社でもメンタルヘルス対策が必要になっていると思います。大企業ではいろいろ実施されているようですが、どのように取り組むのでしょうか。」

 
守田
「リエちゃんの言うとおり、大企業ではほとんどの職場で何らかの取組みがされていますが、それでも、精神障害による労災認定の件数および労働者の自殺者は年々増加しています。そのような状況で、厚生労働省は労働安全衛生法に基づいて、平成18年に“労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)”を定めています。」

リエ
「個人的問題のように思われがちですが、行政とか会社はどのように考えて取り組むのでしょうか。」

守田
「目的としては、単に安全衛生義務の履行とかメンタルヘルス不全に陥った労働者の対策ということだけではなく、すべての労働者を対象に、心の健康を保ち、職場の活性化とモラールの向上を実現することが重要だと思う。」

リエ
「心が健康じゃないと生産性が上がらないですからね。会社としても取り組む意味が大いにありますよね。では、具体的にメンタルヘルスのケアはだれが行うのですか。」
 
守田
「メンタルヘルス指針によれば、次の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要ということです。1)セルフケア(労働者自らのケア、事業者はこれを支援する)、2)ラインによるケア(管理監督者によるケアで、部下の健康管理や職場環境等の改善など)、3)事業場内産業保健スタッフ等によるケア(産業医や人事労務管理担当者などによるケア)、4)事業場外資源によるケア(公的な機関の行う研修やコンサルティング事業などの活用、精神科医や専門家によるケアなど)。」
 
リエ
「やはり個人的な問題ではなく、会社全体で取り組む問題ということですね。それで、どのような手順で進めるのでしょうか。」

守田
「会社は、1)心の健康計画の策定、2)関係者への事業場の方針の明示、3)労働者の相談に応じる体制の整備、4)関係者に対する教育研修の機会の提供、5)事業場外資源とのネットワーク形成などを行います。そして、4つのケアが効果的に行われるよう、教育研修・情報提供とともに、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰のための支援等が必要です。さらに、指針では、メンタルヘルス対策を進めるに当たって、心の健康問題の特性、労働者の個人情報の保護への配慮、人事労務管理との関係、家庭・個人生活等の職場以外の問題に留意すべきとしています。」

リエ
「人事労務部門にとっては大変な仕事ですね。」
 


守田
「いろいろな分野で従来にはなかった難しい仕事をしなければならないので、ストレスも増加する、ということですね。」