“ホワイトカラー・エグゼンプション”について考える
   
カテゴリ:人事労務
作成日:01/30/2007
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  




リエ
「恵子さん、知ってる?“ホワイトカラー・エグゼンプション”って導入が見送られたそうよ。私たちみたいなOLに、ささやかな残業手当が出なくなったら困っちゃうもんね。助かったわー。」
 
恵子
「ええ、その話なら知っています。国会で審議する前に流れちゃったんですよね。でも“ホワイトカラー・エグゼンプション”って何となく聞いたことがあるだけで、一体どういう内容だったんでしょうか?」

リエ
「そっ、それを聞かれると弱いんだなぁ。あっ、ちょうどいいところに旭課長が戻ってきたわ。教えてください、旭課長!」

旭課長
「どうしたんだい。えっ、“ホワイトカラー・エグゼンプション”って何かって?」
 

恵子
「そうなんです。新聞報道では“残業代ゼロ法案”とも言われていました。サラリーマンが反対するのも当然です。」

 
旭課長
「うーん、“ホワイトカラー・エグゼンプション”を日本語訳すると、ホワイトカラーに対する労働時間規制の適用除外制度、ということになるんだろうな。現行の労働基準法は約60年前に制定されたもので、今や産業構造はずいぶん変わったよね。当時は工場労働等のいわゆるブルーカラー向けの時間管理を前提にしていたけれど、現代はホワイトカラーと呼ばれる企画や営業といった製造現場以外の労働者が圧倒的に増大し、従来の労基法による厳格な時間管理が馴染まない職場が多くなった。そこで政府としては、ホワイトカラー向けに、緩やかな管理の下で勤務時間を気にせず自立的に働ける仕組みを導入しようとした、というのが今回の背景かな。仕事の仕方や労働時間の配分の指示を受けないこと、年収が相当高いことなどを条件に、対象者はかなり限定される見込みだったにもかかわらず、残業代がなくなる面が強調され過ぎて、結局は『国民の理解が得られていると思われない』という理由で流れちゃったけどね。」

恵子
「アメリカでは実施されているんですか?」
 


旭課長
「“ホワイトカラー・エグゼンプション”自体は1940年に導入された制度らしい。でも、日本が参考にしようとしているアメリカの現行制度は2004年に大幅改正されたもので、年収2万4千ドル(約290万円)以上であれば、理論上は(他の条件もあるが)残業手当がなくなる可能性がある。一説によると、対象者は600万人もいるそうだよ。」
 
リエ
「うわー、大変だわ。やっぱり、新しい法律の導入は慎重にやってもらわないと困るなぁー。私は当分、アメリカでは働かないことにします……?」