60歳定年じゃダメなの?
   
カテゴリ:人事労務
作成日:02/21/2006
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  




恵子
「リエ先輩、知ってます?今度の4月(平成18年4月1日)から60歳定年で会社を辞めてもらってはいけなくなるみたいですよ。何でも法律で決まったらしいんですが、会社は希望者を65歳まで継続雇用しなければならなくなるそうです。」
 
リエ
「そうなのよね。聞いたことはあるんだけど、私もよく理解できないの。こんな時、社会保険労務士の守田先生がいてくれたらなぁ。」

守田先生
「やぁ、聞こえたよ。高年齢者雇用安定法の改正に伴う高年齢者雇用確保措置についての質問だね。」

 
旭課長

「この後、守田先生との打ち合わせがあるんだ。ちょうど良かった。詳しく教えていただこう。」

守田先生
「労働基準法で、定年退職の年齢が60歳を下回ってはいけないことになっているのは知っているね。一方、老齢厚生年金年金(定額部分)の支給開始年齢が段階的に引き上げられて、平成25年4月以降は65歳以上が受給対象者になるんだ。そうすると、60歳で定年退職した人は年金を受給できるまで5年間は収入がなくなってしまう。そこで政府は高年齢者雇用安定法を見直して、65歳までの雇用確保を義務化したというわけなんだ。」

 
 <高年齢者雇用確保措置(平成18年4月1日から施行)>

 65歳未満の定年を定めている事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、
 1)定年の引上げ
 2)継続雇用制度の導入
 3)定年の定めの廃止
のいずれかの措置を講じなければならない。
 

リエ
「定年を65歳に引き上げたり(1)、定年制を廃止したり(3)すると、本人が希望する・しないにかかわらず全員に適用されることになるから、60歳で仕事を辞めたい人が自己都合退職になってしまうんですね。何となく不親切な気がします。残るのは、継続雇用制度の導入(2)ですか……。」
 


守田先生
「継続雇用制度というのは定年後も引き続き雇用する制度のことだから、60歳定年制そのものを変更する必要はないんだよ。定年退職する人のうち、希望者だけ引き続き65歳まで雇用すればいいんだ。」
 
恵子
「でも、企業によっては希望者が多すぎて、雇用を維持できない場合もあるんじゃないでしょうか?」

守田先生
「そう、いい質問だね。継続雇用制度を導入する会社は、労使協定で基準を定めることで、必ずしも希望者全員を継続雇用の対象にしないこともできる。例えば、“勤続10年以上の者”とか“過去3年間の人事考課が標準評価以上である者”、あるいは“職能等級3級以上の者”といった客観的に対象者を選出できる基準を労使で決めておくことができるんだよ。こういった理由から、各企業では継続雇用制度の導入が中心になるだろうね。」
 

リエ
「なるほど。早速、当社の基準を作らなくちゃいけませんね。」

旭課長
「その通り。それにしても、年度末だっていうのに、また仕事が増えてしまった。よーし、頑張るぞー!」