労働保険料の損金算入時期はいつ?
   
カテゴリ:人事労務
作成日:05/25/2004
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「旭課長、ちょっと教えて頂きたいんですが、先日毎年5月に行う労働保険料の申告と納付をしましたよね。」

旭課長
「うん、それがどうかしたの?」
 

リエ
「この労働保険料の基準となる給与の期間は、4月から3月までで、今回納付した保険料の金額も平成15年4月から平成16年3月までのお給料の金額が基準になっているわけですから、平成16年3月期の決算にかかる経費に含めてもいいんじゃないですか?」

 
旭課長
「するどい質問だね、その考え方はもっともだと思うよ、実は以前私も会計事務所の黒田さんに同じ質問をしたことがあって、その時に教えてもらったんだけど、毎年5月に行う労働保険料の申告というのは、前年度(前年4月から今年3月)までの労働保険料の確定と、今年度(今年4月から来年3月)までの見込金額である概算保険料の計算をして納付をするものだということは分かるかな?」

リエ
「そういえば、申告書ではまず前年度分の確定保険料を計算してから、去年申告納付した概算保険料と比較して、概算保険料が少なければ不足額、多ければ超過額としていますね。その後今年度分の概算保険料を計算して、前年度分の不足額があれば加算して納付、超過額があれば差し引いて納付するんでしたよね。」

旭課長
「そう、その通り。そして本題だけど、今回納付した労働保険料というのはリエちゃんが言ったとおり、あくまで今年度である今年4月から来年3月までの概算にすぎないから、確定はしていないものであるし、我が社の決算日である3月31日までには申告もしていないことになるね。」

リエ
「そうか、今回納めたのは会社の決算でいうと平成17年3月期の分で、決算日までに申告もしていないから経費として計上してはいけないんですね。」

旭課長
「そう、これが例えば決算月が5月の会社だったら概算保険料といえども、決算日までに申告が完了していれば経費として計上することができるらしいんだけどね。ただし、3月決算の場合でも場合によっては、経費にしても構わない部分があるんだけど分かるかな?」

リエ
「う~ん、分かりません。」
 


旭課長
「労働保険料の申告というのは概算保険料の納付だけではなくて、リエちゃんがさっき言ったように前年度の確定保険料を計算して、去年納めた概算保険料では足りない分を納付するということもあるわけだよね。」
 
リエ
「あ、もしかしたらその不足額というのは前年度分として確定したものであるから、決算日までに申告がされていなくても、経費として計上できるということですか?」

旭課長
「正解、そして、超過額が出た場合にはその申告書を提出した日で処理をすれば良いということになっているそうだよ。ちなみに今回の我が社の労働保険料の申告については不足額が生じなかったから経費には計上しなかったんだ。あと、分かっていると思うけど、会社で支払う労働保険料の中にはみんなから雇用保険料として給与から天引きしている分が含まれているから、その分は会社の経費としてはいけないというのは忘れないでね。」

リエ
「なるほど、よく分かりました、ありがとうございました。」