試用期間中の解雇
   
カテゴリ:人事労務
作成日:07/25/2006
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 亀井工場長が旭課長とリエちゃんに相談しています。

亀井
「先週、中途採用した社員の件で相談があるんだけどさ……。」

リエ
「あっ、横田さんのことですね。工場長が『若手が欲しい』っていうんで採用した経験者でしたよね。頑張ってますか?」

亀井
「いやぁ、それが反対でさ。あいつ、今日で無断欠勤が3日続いてるんだ。入社早々これじゃ、困るんだよな。こういう場合、解雇(クビ)にしてもいいんだよね?」

リエ
「それは残念です。でも、入社したばかりで無断欠勤しちゃ、仕方ないのかな。えーと、確か社員を解雇するには、30日以上前に予告するか、または30日分以上の解雇予告手当を支払う必要があると記憶しています。そうすると、即日解雇する場合、1ヵ月分の賃金に相当する解雇予告手当を支払わないといけないですね。」

亀井
「おいおい、出勤した日が3~4日しかないのに、1ヵ月分の賃金相当額を支払うなんて、何かおかしいんじゃないかな。ねぇ、旭課長?」
 

旭課長
「横田君の場合は試用期間中で、まだ雇い入れから14日経過していないので、解雇予告制度の適用除外に該当します。つまり、入社が先週ですから今週中に解雇するなら、解雇予告の必要はないということになります。」

 
リエ
「あぶない、間違えて伝えてしまうところでした。失礼しました。でも、本当に解雇でいいんですか?」

亀井
「うーん、そう言われるとね。実は横田と連絡を取ろうと何回も電話してるんだけど、全然つながらない。もしかすると、急病で入院、なんてことがあるのかもしれないなぁ。こんなふうに考えるなんて、俺も歳をとって穏やかになったのかな。」

旭課長
「それならこうしましょう。亀井工場長には、横田君と引き続き連絡を取ってもらって、連絡がつけば事情を確認し、退職も含めた今後の対応を相談してください。仮に正当な理由があったとしても、無断欠勤は懲戒の対象です。再発防止に向けて始末書を提出してもらわなければなりません。もしも今週末までに連絡がつかなければ、やむを得ず解雇手続きを取りましょう。」

亀井
「そうだね、それでいこう。明日にでも自宅を訪問してみるよ。しかし、この忙しいのに手間を取らせやがって。見つけたら再教育してやる!」
 


リエ
「うわー、怒ってる。でも、横田さんもこんな社員思いの工場長の元で仕事ができることがわかったら、二度と無断欠勤なんかしないんだろうなぁ……。」