パートタイム労働法が変わります
   
カテゴリ:人事労務
作成日:03/24/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 昨年(平成26年)4月に改正公布された「パートタイム労働法」(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が、今年4月1日に施行されます。そのことで、リエちゃんが社会保険労務士の守田先生に質問しています。




リエ
「パートタイム労働法が対象としている“パートタイム労働者”とは、どのような方を言うのでしょうか。」
 


守田
「一般に、“パートタイマー”、“アルバイト”、“嘱託”、“臨時社員”、“準社員”と呼ばれていますが、それらの人を法律の中では総称して、“短時間労働者”と表現しており、1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用されている通常の労働者(一般に“正社員”と呼ばれている)に比べて短い労働者のことを指しています。


逆に、事業所では“パート”と呼ばれていても、フルタイムで働く人は、この法律の対象になっていません。ただし、このような人も、パートタイム労働指針によってパートタイム労働法の趣旨が考慮されるべきものとしています。」

リエ
「今回の改正の背景はどういうことですか?」

守田
「厚生労働省が発行した“パートタイム労働法のあらまし”というパンフレットによると、パートタイム労働者は、雇用者全体の約3割を占め、経済活動の重要な役割を担っている。しかし、仕事や責任、人事管理が正社員と同様なのに、賃金などの待遇が働きや貢献に見合っていないパートタイム労働者が存在し、一旦パートタイム労働者として就職すると、希望しても正社員になることが難しい、といった問題があり、パートタイム労働者の働く意欲を失わせている状況が続いている。これらの問題を解消し、パートタイム労働者が能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備し、“公正な待遇の実現を目指す”という目的で現行法が平成20年に施行されている。今回の改正は、より一層の均等・均衡待遇の確保を推進し、納得性の向上を図るために改正した、ということです。」

リエ
「従来のパートタイム労働法とどこが変わるのですか?」

守田
「主な改正点は以下の3項目です。」


1.

パートタイム労働者の公正な待遇の確保
正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲が拡大されました。

<現行法>
以下の3条件に該当する場合、正社員と差別的取扱いが禁止されています。
(1)職務の内容が正社員と同一、(2)人材活用の仕組みが正社員と同一、(3)無期労働契約を締結している。

<改正法>
上記のうち、(3)の条件がなくなり、(1)と(2)に該当すれば、正社員との差別的取扱いが禁止されることになりました。また、待遇について、正社員との相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないという原則が規定されました。
 

2.

パートタイム労働者の納得性を高めるための措置
パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、事業主が説明する義務および相談に対応する体制整備の義務が新設されました。
 

3.

パートタイム労働法の実効性を高めるための規定
雇用管理の改善措置の規定に違反している事業主に対して、厚生労働大臣が是正勧告をしても、事業主がこれに従わない場合、事業主名を公表する制度および虚偽の報告をした事業主に対する過料が新設されました。
 

リエ
「会社にとっては、かなり厳しい対応が求められますね。でも、重要な戦力になっているパートタイムの方の雇用管理を見直す良い機会かもしれません。ありがとうございました。」