退職しても受給できる傷病手当金
   
カテゴリ:人事労務
作成日:08/10/2004
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 亀井工場長が旭課長とリエちゃんに社員の退職について相談しています。

亀井
「1ヵ月位前に肝炎で入院した、工場の石井は知ってるよね。あいつはまだ入社して1年半しか経っていないんだけど、真面目な奴でね、入院するまで休んだことがなかったんだ。この間お見舞いに行ったらさ、当分仕事に復帰できないから、会社を辞めさせてくれって言うんだよ。あいつの気持ちもわからなくはないんだけど………。こんな時、会社はどう対応するのかな?」
 

リエ
「石井さんの件は聞いています。さて、会社の対応ということですが、就業規則上、入社して1年以上経過した社員には私傷病による半年間の休職を認めています。石井さんの場合、休職開始が7月1日ですから、病気療養が長引いても年内は休職の扱いができます。」

 
亀井
「そうこなくっちゃ。本人には安心して療養に専念するよう言ってやるよ。だけど、もし半年経っても復帰できなかったらどうなるんだい?やっぱり退職かな。」

リエ
「その場合は残念ですが、休職期間満了による退職ということになります。」

亀井
「退職したら、失業手当をもらえるのかな。」

リエ
「病気で仕事ができない訳ですから、仕事を探している人を対象にした失業給付は受給できません。仕事ができるようになるまで、受給期間の延長は可能です。」
 

旭課長
「休職期間満了で退職しても、健康保険から傷病手当金が引き続き受給できます。傷病手当金は、療養のため労務不能となり報酬を受けられない場合に賃金の6割相当額を受給できる制度です。同一の傷病であれば、会社を退職しても受給開始から最長1年6ヵ月間受給できます。石井君の場合は平成16年7月から傷病手当金を受給していますので、平成17年12月までは受給することが可能です。」

 

 旭課長から、退職後に傷病手当金を受給できる要件の説明があった。

1.

退職時に傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあること。

2.

退職日までに、継続して1年以上社会保険の被保険者であったこと。
 
リエ
「そうでした。退職してももらえる給付があるんだった。これなら亀井工場長も石井さんに説明しやすいですね。」
 


亀井
「いやぁー、ありがとう。石井も喜ぶと思うよ。それより、会社で決められた休職期間中に早く治せって、喝を入れてやるよ。」