~会社が倒産してしまった! その3~雇用保険・失業手当
   
カテゴリ:人事労務
作成日:12/28/2010
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 勤めていた会社が倒産してしまった友人のことが心配なリエちゃん。今日は雇用保険について社会保険労務士の守田先生に質問があるようです。

リエ
「先生こんにちは。早速ですが、先日から相談させていただいている友人の件で、またアドバイスをお願いしたいのですがよろしいでしょうか。」

守田
「はいどうぞ。」
 

リエ
「友人は在職中雇用保険に加入していたのですが、離職票が手元に届いてからまだ何も手続きをしていないようなのです。倒産による退職の場合、失業手当は自己都合退職の場合と違うというのはなんとなく知っていますが、具体的には何が違うのでしょうか。」

 
守田
「離職の理由により、1.受給資格を得るために必要な被保険者期間、2.実際に給付を受けるまでの期間、さらに3.給付日数に大きな違いがあります。失業手当は雇用保険法では失業等給付のうちの基本手当と呼ぶのが正式なのですが、分かりやすく失業手当と表現しましょう。順を追って解説していきますね。」

リエ
「お願いします。」

守田
「まず、1.の被保険者期間ですが、通常失業手当を受けるためには、離職前2年間に12ヵ月以上の被保険者期間が必要なのですが、倒産等による退職の場合は離職前1年間に6ヵ月以上の被保険者期間があれば受給資格を得ることが出来ます。」

リエ
「急な退職を余儀なくされた事情を考慮してということなのですね。」

守田
「そういうことですね。次に、2.の実際に給付を受けることができる期間についてお話しします。離職後は、本人が住所地を管轄するハローワークへ離職票をもって出向き、『求職の申込み』をします。この手続きをした日が失業手当を受けるスタートの日として決められるわけですが、求職の申込みから7日間は給付をうけることができません。これを『待期』と言います。そして待期後すぐに給付対象期間となるかどうかは離職理由によるのですが、お友達のような、倒産による離職の場合は待期が満了したその翌日から失業手当の受給対象として計算されます。」

リエ
「いわゆる自己都合退職の場合は3ヵ月の給付制限期間がありますが、その期間がないということなのですね」

守田
「そうです。最後に3.の給付日数ですが、失業手当の給付は受給資格にかかる離職日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などにより、90日~360日の間でそれぞれ決められています。しかし、特に倒産による退職の場合は『特定受給資格者』として取り扱われ、いわゆる自己都合退職と比べて日数が多く設定されています。例えば、30歳未満で5年以上の被保険者期間のある方の場合、いわゆる自己都合退職の場合は90日分の給付が受けられるのに対し、特定受給資格者の場合は120日分と差が設けられているのです。詳細はこちらのURLで確認できますので見ておくとよいでしょう。 https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html 」

リエ
「ありがとうございます。彼女、会社が倒産してかなりショックを受けているようで、私、心配しているんです。でも先日から先生にいろいろと教えていただいて、随分落ち着いたようです。」
 


守田
「まだお若いのですし、気持ちを切り替えて次のステップへ進んでいってほしいですね。」

リエ
「はい。どうもありがとうございました。」