結構複雑な定年後の継続雇用!
   
カテゴリ:人事労務
作成日:08/21/2007
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんと旭課長が亀井工場長と打ち合わせをしています。
 


旭課長
「工場の湯川さんが12月で60歳になります。当社では、定年後も本人の希望によって最長65歳まで継続雇用する制度を導入していますから、そろそろ湯川さんの希望を確認していただく時期かと思います。」
 
亀井
「えっ、湯川は60歳になるの?ずいぶん長く勤めてくれているけど、若く見えるから、50代半ばだと思っていたよ。そうか、それであいつ、夏の賞与の面接の時、『60歳過ぎたら週3日ぐらい働きたい』なんて言ってたんだ。」

リエ
「なんだ、ちゃんと聞いているじゃないですか。それじゃ、湯川さんは“1日8時間×週3日=週24時間”勤務の希望ということでいいですね?」

亀井
「ちょっと待ってくれ!きちんと確認したわけじゃないから、もう1回聞いてみるよ。それはそうと、週5日働いていた正社員を定年後週3日勤務で再雇用すると、何か変わるのかな。給料が下がるのは当然だけど、それ以外に注意しなければいけないことはある?」

旭課長
「一番影響が大きいのは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格を喪失することでしょう。当社の正社員は所定労働時間が週40時間(1日8時間×週5日)ですから、その4分の3未満(週30時間未満)の契約労働時間に切り替えたら、社会保険から抜けなければなりません。その代わり、社会保険に加入しない人は老齢年金の支給停止の対象になりませんから、湯川さんは老齢厚生年金を全額受給できます。」

亀井
「社会保険をやめたら国民健康保険に加入するんだよね。ほかには?」
  

リエ
「社会保険の任意継続を選択する方が保険料が安いケースがありますから、具体的に金額を比較してみたらいかがでしょう。それと、切り替え後に付与される年次有給休暇の日数は週5日勤務の時と比べて減ってしまいますので、ご注意ください。えーと、あとは何かあったかな………。」

 
旭課長
「湯川さんが週3日(週24時間)の労働契約を結んだとしても、雇用保険は被保険者のままです。そうすると、60歳以降の賃金が60歳到達前の賃金の75%未満に低下するので、高年齢雇用継続給付の対象になります(被保険者期間5年以上の場合)。本人が最大で新賃金の15%の給付金を受給できます。」
 


亀井
「うわー、結構複雑だね!本人の希望を確認する時は同席してもらわなきゃ。それにしても湯川は俺より年上だったんだ………。今度から敬語を使わないといけないかな?」