社会保険標準報酬の随時改定
   
カテゴリ:人事労務
作成日:09/29/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は社会保険労務士守田先生の訪問日です。




リエ
「先生こんにちは。早速ですがお聞きしてもよろしいでしょうか。」


守田
「どうぞ。」



リエ
「社会保険の随時改定に関してなのですが、該当すると思われる社員が何人かいて、確認させていただきたいのです。おさらいの意味も含めて教えていただけますか。」

守田
「わかりました。そもそも社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額は、毎年1回の定時決定により決定され、原則として1年間使用されますが、昇給や降給などにより報酬の額に大幅な変動があった場合には、実際に受ける報酬と標準報酬月額との間に隔たりがないよう、次回の定時決定を待たずに報酬月額の改定を行います。これを随時改定といい、その届出書を『月額変更届』といいます。」

リエ
「随時改定にはいくつか要件がありましたよね。」

守田
「そうです。要件は以下の3つです。

1.

固定的賃金の変動または給与体系の変更があったこと

2.

変動月以降、引き続く3ヵ月とも支払基礎日数が17日以上あること

3.

変動月から3ヵ月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額に2等級以上の差があること」

リエ
「はい。そこでお聞きしたいのが、次の二人の社員のケースです。」

(共通の条件)
・昇給月の7月に基本給(固定的賃金)をそれぞれ1万円ずつ昇給した。
・支払基礎日数は3ヵ月とも17日以上
(社員A)
・7月から9月まで残業が多く、時間外手当が多額になり、3ヵ月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額を比較して2等級以上の差(増額)がある。
(社員B)
・残業がなく時間外手当の支給がなかったため、3ヵ月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額を比較して2等級以上の差(減額)がある。

守田
「Aさんは随時改定に該当しますね。先ほどお話しした要件にすべて合致しています。一方、Bさんは随時改定に該当しません。」

リエ
「なぜBさんは該当しないのでしょうか。3要件を満たしているように見えるのですが。」

守田
「たとえ3要件を満たしていても、原因(=固定的賃金の増減)と結果(=3ヵ月の平均額の増減)が一致しない場合は随時改定に該当しないのです。つまり原因が増加し、かつ結果が増加している場合と、原因が減額で結果も減額である場合が随時改定に該当します。Bさんの場合は、原因は増額しているものの結果が減額していますよね。ですから月額変更には該当しないのです。多いケースではありませんが、このような場合もあることを知っておいてくださいね。」

リエ
「原因と結果ですね。知りませんでした。それでは今回はAさんの分のみ月額変更届を提出しておきます。今日はありがとうございました。」


参考
日本年金機構HP