会社が倒産してしまった! その2~未払賃金の立替払事業
   
カテゴリ:人事労務
作成日:10/05/2010
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 先日、勤めていた会社が倒産してしまった友人の件を守田先生に相談していたリエちゃんですが、追加の質問があるようです。

リエ
「先生、また友人の件で相談したいのですが、よろしいでしょうか。」

守田
「はいどうぞ。」
 

リエ
「実は倒産してしまう前の数ヵ月間、給料が支払われない状態だったらしいのです。これはあきらめるしかないのでしょうか。」

 
守田
「未払賃金の立替払制度がありますよ。」

リエ
「それはどんな制度なんですか?」

守田
「企業が倒産したために、賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、その未払賃金の一定の範囲について、独立行政法人労働者健康福祉機構が事業主に代わって支払う制度です。要件や金額について解説しましょう。」

リエ
「よろしくお願いします。」
 


守田
「まず気になるのは、いくら払われるかということだと思います。立替払いの対象となる未払賃金は、退職日の6ヵ月前の日から機構に対する立替払請求の日の前日までの間に支払日が到来している『定期賃金』及び『退職手当』で未払いのものに限られます。」
 
リエ
「ボーナスや解雇予告手当は対象とならないのですね。」

守田
「そうです。また対象となる賃金も、全額が支払われるわけではないので注意が必要です。」

リエ
「どういうことでしょうか。」

守田
「立替払いされる賃金の額は、未払賃金総額の8割です。また、未払賃金総額には退職日の年齢に応じた限度額が設けられており、未払賃金総額が限度額を超えるときはその限度額の8割となります。また、未払賃金の総額が2万円未満の場合は立替払いの対象とはなりません。」
 
退職日における年齢未払賃金総額の限度額立替払上限額
45歳以上370万円296万円
30歳以上45歳未満220万円176万円
30歳未満110万円88万円
 
リエ
「請求はいつ、どのようにしたらいいのでしょうか。」

守田
「請求期間は、裁判所の破産等の決定又は労働基準監督署長の倒産の認定があった日の翌日から起算して2年以内です。この期間を過ぎてしまうと立替払いを受けることができなくなりますので、忘れないうちに請求しておきたいですね。請求手続きは、倒産事由が法律上の倒産の場合と事実上の倒産の場合とで異なります。詳細は独立行政法人労働者健康福祉機構に確認していただくようお伝えください。」

リエ
「わかりました。ありがとうございました。」


[参考リンク]
http://www.rofuku.go.jp/kinrosyashien/pdf/tatekae_seido2.pdf