工場で人材派遣を活用したい
   
カテゴリ:人事労務
作成日:09/24/2003
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 亀井工場長が経理室に来て、人の問題で旭課長に相談しています。
 


亀井工場長
「最近、企業のリストラやM&Aが増えたおかげで、社名や住所を変更する印刷物の注文が急に増えてきてね。工場が大変な状態なんだよ。納期に間に合わせるためには、人が足りなくて困っている。そこで、派遣社員を利用したいけど、ウチのような印刷工場でも使えるのかな?」
 
旭課長
「そうですか。最近工場の社員の残業が多いので、忙しいとは思いましたけど。人の手配が必要ですね。人材派遣は、以前は労働者派遣法で「ソフトウェアの開発・保守」や「機械・設備の設計」など専門性の高い26職種に限定されていましたけど、平成11年に法律が改正されて、派遣出来ない業務として、(1)港湾運送業務、(2)建設業務、(3)警備業務、(4)医療関係業務、(5)人事労務関係の業務、(6)物の製造、(7)弁護士などの専門業務を除くすべての業務に関して、原則的に労働派遣が可能になりました。製造業についてはライン業務の派遣は当面禁止対象ですが、資材の梱包や出荷業務などには派遣できることになっています。」

亀井工場長
「今、工場には梱包や出荷業務の人が足りないので、そこに入れようと思っていたところだから、派遣社員は導入できるね。」

旭課長
「ライン業務でも正社員が産前産後の休業や育児休業、介護休業をする場合は、その業務に限って、派遣社員を導入することができます。」

亀井工場長
「ところで、社長から、これからは人材も業務の繁閑に合わせて流動化する必要があるので、人材派遣や構内の業務請負に取り組むよう指示が出されているけど、派遣と請負はどう違うの?」
 

旭課長
「人材派遣は、派遣元と派遣先が派遣契約を結び、派遣元との雇用関係にある労働者に対して、派遣先企業が指揮命令をして、労働に従事させることで、雇用と使用を分けています。一方、業務請負は、請負業者と発注者が請負業務委託契約を結び、請負業者と雇用関係・指揮命令関係にある労働者が仕事に従事することをいいます。したがって、労働者との雇用および指揮命令関係は請負業者にあります。もともと、請負業務委託は、特定の仕事の完成を約することを契約するもので、請負業者が雇用する労働者を発注者の指揮命令下におくことはありません。」

 
亀井工場長
「では、まとまっと業務をウチの工場で作業してもらうときに、請負にすればよいということだね。今回のように、1人、2人が必要な場合は、人材派遣が合っているようだね。早速、派遣社員の手配をお願いしよう。どうもありがとう。」