法人代表者等の労災保険
   
カテゴリ:人事労務
作成日:07/05/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



工場長
「アイタタタッ…。」





守田
「工場長、どうされたのですか?」

リエ
「今朝、通勤中に足を滑らせてしまったそうです。」



工場長
「電車が来たものだから、颯爽とホームへ駆け上がっている…はずだったんだけどな。」

守田
「病院には行かれましたか。」

工場長
「はい。年甲斐もなく走ったのがいけなかったようで、捻挫してしまいました。」

リエ
「まったく、無理しないで下さいよ。」

工場長
「大きな怪我でなかったのが幸いだよ。」

リエ
「通勤途中ですので、労災保険が適用されますよね。」

守田
「そうですね。労災保険申請の手続きを行わなければなりませんね。」

リエ
「法人の代表者や役員は労災保険に加入していませんよね。代表者等が業務中に怪我をした場合には、どうなるのでしょうか。」

守田
「法人の代表者及び役員は、原則として労災保険は適用されませんので、医療費全額を自己負担しなければなりません。労災保険の適用を希望する場合には、労働保険事務組合を通じて特別加入する必要があります。補償の範囲については、通勤災害については一般労働者の場合と同様に取り扱われますが、業務災害については、申請時に記載した業務又は作業の内容を基礎として厚生労働省労働基準局長が定める基準によって認定されることになっています。」

旭課長
「小規模の法人には特例があるって聞いたことがあるのですが…。」

守田
「はい。被保険者が5人未満である社会保険の適用事業所に所属する法人の代表者等で、一般の労働者と著しく異ならない労務に従事している場合には、健康保険の給付を受けることができます。5人未満の個人事業主には、社会保険への加入義務がないことから、小規模法人とのバランスを考慮し、健康保険の給付がされることになったそうです。ただし、傷病手当金は支給されません。傷病による休業に対して報酬の減額を決定する立場であり、減額を受ける立場ではないためです。」

リエ
「弊所の場合でも特別加入制度ならば労災保険が適用可能ということですね。まあ、怪我や事故を起こさないのが一番ですけどね。」

工場長
「うっ、気を付けます。」