業務災害で4日以上休業したら・・・休業補償給付と労働者死傷病報告
   
カテゴリ:人事労務
作成日:12/08/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


今日は社会保険労務士守田先生の訪問日です。




リエ
「先生こんにちは。早速ですがお聞きしてもよろしいでしょうか。」

守田
「どうぞ。」



リエ
「先月、工場内で勤務時間中に転倒して怪我をしてしまった従業員がいるんです。」

守田
「病院にはかかったのですか?」

リエ
「はい。転倒した際、近くにあった作業台におでこの辺りをぶつけてしまって、かなり出血があったので、救急車で病院に搬送されました。」

守田
「それは大変でしたね。現在の容体はいかがでしょうか。」

リエ
「頭部だったので心配しましたが、脳に異常はなく何針か縫って処置は終了したそうです。」

守田
「大事に至らなくてよかったですね。手続き関係は大丈夫でしたか?」

リエ
「はい。病院に提出する療養補償給付の請求書は、以前先生に作っていただいたものを参考に作成し、本人に渡しました。ただ今回は、怪我をしてから10日ほど休業したんです。この場合は休業補償の請求ができるのではないでしょうか。」

守田
「リエちゃんが療養補償給付の請求書を作成したのですか? スキルアップしていますね! さて、今回のケースはこれから2つの手続きが必要となります。1つはリエちゃんの言うように休業補償給付の請求、もう1つは労働者死傷病報告の提出です。1つずつ説明しますね。」

リエ
「お願いします。」

守田
「労働者が、業務が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、その第4日目から、休業補償給付と休業特別支給金が支給されます。その額は以下の通りです。
休業補償給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数
休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)×休業日数。」

リエ
「給付基礎日額ってなんでしょうか。」

守田
「原則として労働基準法の平均賃金に相当する額(日額)のことです。平均賃金とは、その方に対して支給した直前3ヵ月に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額をいいます。」

リエ
「休業1日当たり平均賃金の80%が受け取れるということなのですね。給与の支給がない間、助かることでしょう。第4日目から支給されるということですが、休業の初日から第3日目まではどうなるのでしょうか。」

守田
「休業の初日から第3日目までを待期期間といい、この間は事業主が労働基準法の規定に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うことになります。」

リエ
「待期期間に有給休暇を使用することはできるのでしょうか。」

守田
「本人からの申し出により年次有給休暇を使用することは可能です。その場合会社は別途休業補償する必要はありません。」

リエ
「なるほど。」

守田
「もう1つの労働者死傷病報告ですが、これは労働者が業務中等に負傷し、または中毒や疾病にかかったことにより休業もしくは死亡した場合に、事業主が作成・提出しなければならないものです。休業日数が4日以上あるいは死亡の場合と、休業日数が4日未満の場合とで書式が異なりますので作成時は注意が必要です。提出期日は、4日以上の休業の場合は災害発生後遅滞なく、休業が4日未満の場合は四半期ごとに取りまとめることになっており、提出先は事業所を管轄する労働基準監督署です。」

リエ
「分かりました。この2つの手続きについては先生にお願いすることになると思います。よろしくお願いいたします。」