従業員が役員になったら……
   
カテゴリ:人事労務
作成日:12/16/2008
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は守田先生がいらっしゃっています。

リエ
「先生。こんにちは。早速ですが、教えていただきたいことがあるのですがよろしいでしょうか。」

守田
「何でしょうか。」
 

リエ
「実は、友人が勤めている会社で、今まで従業員だった人が役員に昇進することになったそうなのですが、その際の労働保険、社会保険関係の手続きについてちょっと聞かれたものですから。」

 
守田
「なるほど。では、ひとつずつ解説していきましょう。」

リエ
「よろしくお願いします」

守田
「労働保険に関しては、文字通り労働者に対する保険ですから、原則として役員は対象外となります。ただし雇用保険については、取締役であっても同時に会社の従業員としての身分を有している場合で、その人の就労実態等を総合的に見て、労働者的性格が強く雇用関係が認められる場合に被保険者となります。その際には『兼務役員雇用実態証明書』を管轄のハローワークに提出します。添付書類がありますから、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。また、本人負担の雇用保険料は、給与の額(役員報酬を除く)に保険料率を乗じた額を控除します。」

リエ
「労働保険のうちの労災保険についてはいかがでしょうか。」

守田
「労災保険については特別な手続きは必要ありません。労働保険料の年度更新の際に、その方の給与の額(役員報酬を除く)を、保険料額算定基礎額に算入して計算し保険料を納付します。休業補償給付などの給付を受ける場合にも、役員報酬を除いた部分で計算されます。」

リエ
「なるほど。」
 


守田
「次に社会保険についてですが、社会保険上の被保険者は適用事業所に使用されるものとされており、役員についても当然に被保険者となります。兼務役員の場合、役員報酬と給与額の合算額が報酬月額となります。」
 
リエ
「はい。」

守田
「当然のことですが、合算した額が支払われることによって随時改定の要件に該当した場合には、月額変更届の提出が必要となります。」

リエ
「良く分かりました。ありがとうございました。」