単身赴任者の通勤災害が認められるケース
   
カテゴリ:人事労務
作成日:10/23/2007
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



恵子
「私の父が福岡に単身赴任をしているんですけど、こないだの金曜日、一旦社宅に帰宅して東京の自宅に戻る途中、駅で転んで怪我をしてしまったんです。」

 
リエ
「大丈夫?怪我の具合はどうなの?」

恵子
「骨に異常はないんですが、足をひねってしまって痛みがひどいようです。」

リエ
「それは大変ね。でもこの場合、通勤災害に該当するんじゃなかったかしら? あっ!ちょうど守田先生がいらっしゃったわ。先生!」
 


守田
「やあこんにちは。恵子ちゃんのお父さん大変だったね。そう、リエちゃんの言う通り、お父さんのケースでも通勤災害として労災保険の給付が受けられるはずだよ。」
 
恵子
「そうなんですか? でも通勤災害って自宅から会社までの間に怪我をした場合に受けられるものだと思っていました。だから父の場合は無理なんじゃ……。」

守田
「通勤災害の通勤の定義を確認しておこうか。


 
 通勤とは、労働者が就業に関し、

(1)

住居と就業の場所との間の往復

(2)

就業の場所から他の就業の場所への移動

(3)

住居と就業の場所との間の往復に先行し、または後続する住居間の移動を合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くもの

 
 
とされているんだ。

そして、(3)には、いわゆる単身赴任者の赴任先住所と帰省先住所の往復間が想定されているんだよ。」

恵子
「???どういうこと?」
 

リエ
「つまり、恵子ちゃんのお父さんの場合も通勤災害に認定される可能性があるってことね。」

恵子
「それは助かるわ!」

 
守田
「通勤災害はもともと、恵子ちゃんの言ったとおり、(1)のように自宅と就業の場所間の事故が想定されていたんだけど、就業形態の多様化を反映して、(2)と(3)が平成18年4月から追加になったんだ。(2)の場合は複数の会社に勤務する人が、一つ目の就業の場所での勤務が終了した後に、二つ目の就業の場所へ向かう場合の移動をいうんだよ。該当する人がこの会社にいるか分からないけど、知っておくといいね。」

リエ
「ありがとうございました。」