年俸制は残業手当がつかない?
   
カテゴリ:人事労務
作成日:05/02/2006
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


恵子
「今度、ウチの会社でも年俸制を導入するらしいですよ。ワクワクしますね。お給料、増えるかなぁ。」
 

リエ
「恵子さん、あまり喜ばない方がいいわよ。年俸制ってことは、もしかすると残業手当がもらえなくなるんじゃないかしら。私の親戚で外資系企業に勤務している人がいるけど、年俸制で残業手当がつかない、って言ってたもの。」

 
恵子
「それじゃ、増えるどころか、減っちゃうじゃないですか!」

旭課長
「おいおい、人聞きの悪いこと言わないでくれよ。」

リエ
「あっ、旭課長。ちょうどいいところに来ましたね。年俸制を導入して会社の残業手当を減らそうなんて、そうはいきませんよ。」

旭課長
「それは誤解だよ。年俸制導入を検討しているのは事実だけど、対象者は部長以上を想定している。当社では、課長以上を管理監督者として時間管理の対象から除外しているから、残業手当の削減とは関係ないんだ。あくまでも、部長以上の管理職の給与に成果を反映させる手段として、年俸制を検討しているということなんだ。」
 


恵子
「良かった、安心しました。でも、会社によっては管理職でない若手社員にも年俸制を導入しているケースがありますよね。その場合でも残業手当は支払われないんでしょうか?」
 
旭課長
「実際に支払われているかどうかはわからなけれど、法律的には残業手当を支払う必要があるね。年俸制とは、給与額を年単位で決定する賃金の決め方を指すのであって、労働基準法第41条の時間外勤務・休日勤務の適用除外者(管理監督者等)とは関係がない。」

リエ
「なーんだ。年俸制だと残業手当がつかない、というのは間違った認識なんですね。」
 

旭課長
「年俸制を導入すると、その対象者全員が残業手当をもらえなくなるというのは間違い。ただし、残業手当の対象外になっている管理職に対して年俸制を適用している会社が多いから、「年俸制だと残業手当がない」という誤解が生まれるようだね。」

 
リエ
「なるほど、私も勘違いしていました。よーし、年俸制で賃金が決まるような部長級の高額所得者に早くならなきゃ、ですね。旭課長!」

旭課長
「そっ、そうだね、早く部長になりたいものだね………。」