中小企業退職金制度について教えてください!
   
カテゴリ:人事労務
作成日:08/26/2008
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「黒田さん。亀井工場長が、お聞きしたいことがあるそうです。」

黒田
「はい。なんでしょう?」
 


亀井
「いや~、お忙しいところ申し訳ないんだけどね。実はさあ、私の昔からの友人で、小さいけど従業員を3~4人程雇って町工場を経営してる者がいるんですよ。そいつが、将来的には従業員のために退職金を支給してあげたいって言うんで、うちで加入している『中退共』ってやつを教えてあげようと思うんだけど、どう説明していいのかわからなくて……。」
 
黒田
「中退共ですね。中退共とは……。」

亀井
「あっ! ちょっと待って下さい。今、メモを用意しますんで……。」

リエ
「ふふふ。工場長、ずいぶん熱心ですね?」

亀井
「いやー、俺が詳しく説明してやらないと、あいつの頭じゃ理解できないと思ってね。へへへ。」

黒田
「では改めまして、中退共とは『中小企業退職金共済制度』のことで、その名の通り中小企業で働く従業員のための、国が運営している退職金共済制度です。事業主側にとっても、退職金を一括で支払うとなると、それなりに高額になるので大変です。それを毎月少しずつ積み立てていけるのがこの制度です。退職金ですので、もちろん掛金は全額事業主負担で従業員は一切負担しませんし、掛金は法人の場合は損金に、個人企業の場合は必要経費となります。」
 

 (注)

資本金または出資金が1億円を超える法人の法人事業税については、外形標準課税が適用されます。
 
亀井
「退職した時に、その時までの掛金が戻ってくるってことですか?」
 

黒田
「いえ。掛金の納付年数が1年未満の場合は支給されません。1年以上2年未満の場合は掛金相当額を下回ります。2年以上納付して初めて掛金相当額が支給されます。3年7ヵ月を過ぎると、今度は掛金相当額を上回る金額が支給されます。」

 
亀井
「でも、事業主がピンハネしちゃうケースが多いんじゃないですか? 私だったら……。」
 
黒田
「いえいえ、これは退職者自らが中退共に請求し、そして中退共から直接、退職者の口座に振り込まれるので、事業主としては、退職者の掛金をストップする手続きをすれば、あとは関与しません。」
 
亀井
「ほーう、まぁ逆に煩わしくなくていいかもしれませんね!ははは。」
 


リエ
「黒田さん。たしか新しく加入する事業主には国からの助成があるんですよね?」
 
黒田
「うん。掛金月額の1/2(従業員ごと上限5000円)を加入後4ヵ月目から1年間、国が助成してくれます。」

亀井
「それはいい!」

黒田
「はい。でも、この制度に加入することでの最大のメリットは、なによりも事業主と従業員の信頼関係を深めることだと思います。お金だけではないですけど、でも社長の『従業員の幸せを望んでいるんだ!』という姿勢が、勤労意欲の向上や、優秀な人材の確保にもつながっていくと思いますよ。」